BRAND STORYブランドストーリー

「人と一緒は嫌、もうそれだけです。自分だからこそ作れる美味しさで、食べた人に喜んでもらいたい」

そう語って下さったのはアッサンブラージュカキモトの垣本晃宏さん。

『クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー』や『ワールドチョコレートマスターズ』など世界的な製菓の大会に、日本代表として出場。独創的な素材使いと、革新的な造形演出で世界を沸かせてきたシェフは今、京都御苑の南――和と洋の入り混じる路地裏の一角に佇む店舗で腕を奮っています。

◆モノ作りが好きだった幼少時代

京都・宇治で生まれ育ち、京都のホテルや神戸のパティスリーで経験を積み、沖縄・西表島での移住生活を経て、世界的なコンクール出場まで果たした垣本さん。幼い頃からモノ作りが好きだったそうです。

「幼稚園の頃から、卵焼きを巻いたりしてましたね。見様見真似でやり始めて……自分で食べるというより、人に作るのが好きだったんです。中学校の頃はニラにハマってましたね。ニラを炒めたり、ニラ玉丼を作ったり、それを当時付き合ってた女の子に出したら、エーッて顔をされたのは覚えてます。勿論、ケーキを作ったりもしてましたよ。でもケーキは難しくて、最初は上手くできなかったですね。ただ、失敗した、とかは全然思ってなくて、とにかくいろいろ作ってました」

笑いながら、そう当時を振り返ります。

「図工や美術が得意だったんです。彫刻とか絵を描くとか……物づくりが好きなんでしょうね。将来は大工になろうかなと考えたりもしました。手先が器用なことを活かしたいなと思って……何になろうかずっと迷ってて、菓子職人になろうと決意したのは25歳の時でした」

その決意の根底にあったのは、小さい頃から積み重ねてきた『人に食べさせてあげたい』『喜ぶ顔が見たい』という想いだったそうです。

2018年、フランスで行われたチョコレートの世界大会《World Chocolate Masters》出場時の制作風景

◆美味しさへの飽くなき探求心

『パティシエ』『ショコラティエ』『キュイジニエ』3つの顔を持っている垣本さんですが、お菓子は特に難しく、作りがいがあるのだそう。

「料理はその場で作ってその場で食べてもらえるので、素材の香りが消えにくいんですよ。でも、お菓子は食べてもらえるまでにタイムラグがあるので、味や香りの変化を想定した上で、どう組み合わせるか構成を考える必要があります。
1口目を食べて美味しいだけでなく、1個全部食べ終えた時にどう感じるかも重要です。何グラムのクリームなら丁度良いか、どんな硬さ、甘さにするか。味が重いもの、軽いものをどう組み合わせていくか……『1つで満足』ではなく『もう1個食べたい』と、本能的に思わせる味を作り込むために、何度も試行錯誤します」

脳がどう感じるかに重きを置いて、素材が生きるパーツを組み合わせていく……積木を思わせるブランドロゴもまさにその哲学を体現しているかのよう。

「口溶けを大事にしているので、うちのお菓子は水分量が多いんです。水分はもう、入るだけ入れます。ルーローショコラなんかは『これを巻くの?』とびっくりされるくらいです。本当に飲めるくらい柔らかい。
水分が多すぎると日持ちがしないので、アルコールを入れて調整したりもします。ただ、他の風味を入れたくないので、リキュールではなくブランデーを。香りも出来るだけ自然なもので出すよう心がけています。自分でなくても出せる味は、絶対に作りたくない。生産性が悪くて作業も難しい、他のどこもやりたがらない……そういう美味しさを作ってます」

もとの素材に近い風味を再現するために、どうすれば良いかを徹底的に考え抜く垣本さん。お菓子はこう作るもの、という既成概念に囚われずに、精密に風味と食感を追求しています。

「1、2、3……と均一なテンポで味が変化していくように作っています。『1』ですべて溶けると一体感は出ますが、感じる味もひとつになってしまう。だから、あえてズレを出すことで順番に出てくる仕掛けをして、風味の移ろいをしっかりと感じられるように作っています。淡い香りを重ねることで素材の風味をより感じやすく、さらに甘みも全体の1割程度に留めています。うちでは『最初に感じるのが甘味』という分かりやすいお菓子は作らない」

店舗奥にあるカウンターの飲食スペース。ショーケースのケーキやショコラだけでなく、お酒やディナー(完全予約制)も楽しめます。

◆料理のエッセンスをお菓子に

突き抜けた哲学と共に、お菓子を作り続ける垣本さん。料理を食べに行って、インスピレーションを得ることが多いそう。

「みょうがを食べた時に、ビターチョコレートの風味を感じたんですよ。だから合うだろうと思って、この2つを組み合わせたボンボンショコラを作りました。火を入れると変わってしまう"みょうが"独特のニュアンスをお菓子でも再現できるように、グレープフルーツと合わせたり……最近の講習会で作って喜ばれたのはパイナップルとビールの組み合わせですね。藁とチョコも合いますよ。鰤の藁焼きを作ってる時に、これはチョコレートでもいけるなと思って……燻製とはまた違う優しい香りなんです。
今までにないものを生み出すのは楽しいです。最近ハマってるのはミントの天麩羅なんですが、これもチョコレートアイスに混ぜたら絶対ウマい」

次々と斬新なアイデアが出てくるのは、今まで食べてきたものが、記憶の中にすべてあるから――地方などで新しい食文化に触れた折々で、得た着想をお菓子と繋げているそうです。また、素材の組み合わせだけでなく、調理のロジックをお菓子に昇華させることも。

「パティシエって、混ぜて作るイメージが強いと思うんですけど、最近はもう、混ぜなくてもいいんじゃないかって思い始めてて……ピスタチオやアーモンドなんかも(クリームとして1つにまとめるのではなく)濃度の異なるペーストとクリームを使い分けて重ねた方が、風味に奥行きを感じやすいんです。
物足りない時は、塩で風味のコントロールをしたりもしますね。塩って凄いんですよ。魚とか芋とかもそうだし、スパイスのカレーを作ってみると体感できますけど、塩味があることによって風味が引き立つんです」

料理で得た体験をお菓子に生かすことで、組み合わせの幅が広がり、重ね方もより研ぎ澄まされていく。垣本さんが『天才』と呼ばれる所以は、莫大な食経験と、それを楽しむ豊かな好奇心にあるのかもしれません。

釣り上げた魚をディナーの素材に、地元のイベントでは手作りのカレーを提供することも。

◆『アッサンブラージュ』に込めた想い

店名でもある『アッサンブラージュ』は、ワイン製造の過程で使用されている言葉から。原酒と原酒をブレンドして、複雑な味わいを醸し出すための技法で、ただ単に『混ぜる』ことではなく『組み合わせる』『集合させる』という意味合いも。

「もともと店を開く時に、お菓子と一緒にお酒を出すつもりで、ワインセラーも買ったんですよ。それで、ワインの風味や組み合わせを勉強している時に、この『アッサンブラージュ』という言葉を見かけて『ぴったりだ!』と閃いて。お菓子も、素材そのままじゃなくて、卵、砂糖、バター……組み合わせて美味しいものを作る仕事じゃないですか。根本に通じるものを感じて、この言葉に決めました」


耳慣れない言葉を使うことに、躊躇は一切なかったそうです。

「人と一緒は嫌、もうそれだけです。自分だからこそ作れる美味しさで、食べた人に喜んでもらいたい。『アッサンブラージュ』の意味が、何か分からなくたっていいんです。店も目立つとこでなくていい、派手に宣伝もしない、なんか分からん方が面白いでしょう?」

2016年に自身の店舗を開店して8年目。常に新しいものを求めて、誰もやっていないことをやりたいと、それまでの常識を覆してきた垣本さん。 「日々進化を感じています。たくさんの人が食べに来てくれる。美味しさに感動してもらったり、組み合わせに驚いてもらったり……作ったものが評価され、徐々に広がっている実感があります。本当にありがたく思っています」 作り手の研ぎ澄まされた感性が凝縮されたアッサンブラージュカキモトのお菓子、是非ご賞味下さい。

ASSEMBLAGES KAKIMOTOのオススメ商品

ルーローショコラ

口どけの違う2種類のチョコレートガナッシュを味わえるロールケーキです。 消え入るような口溶けのビターミルクのガナッシュと、濃厚でなめらかなハイカカオのガナッシュを、しっとりふんわりとした生地で巻いています。 チョコレートの奥深い味わいと、食感のコントラストをお楽しみ下さい。

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◆ヒュートロポリス

山椒とキャラメルのガナッシュ、苺とタイムのジュレ、苺のガナッシュの3つの層を重ねたボンボンショコラ。 2018年、フランスで行われたチョコレートの世界大会《World Chocolate Masters》において準優勝に輝いた一品です。 垣本シェフ自ら原型をデザインしたショコラの美しい形状と、組み合わせた素材の香りの移ろいをご堪能下さい。

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ASSEMBLAGES KAKIMOTOの店舗情報

所在地:〒604-0982 京都府京都市中京区松本町587−5 営業時間 :12001800 定休日 :火・水曜日 アクセス:京阪鴨東線 / 神宮丸太町駅 徒歩8分(610m) 京都市営地下鉄東西線 / 京都市役所前駅 徒歩8分(620m) 京都市営地下鉄烏丸線 / 丸太町駅 徒歩10分(780m)

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