「タイナコーン68%サクラチップスモーク」は、ビーントゥバーを始めたばかりの頃から作り続けている「サクラチップスモーク」の最新作です。

焙煎したカカオ豆を桜チップでスモーク（燻製）してから、リファイナー（カカオ豆の粒子を細かくしてチョコレートに近づける機器）に入れています。
製法はマダガスカルのバージョンと変わりませんが、マダガスカル自体も変更を繰り返し試行錯誤中です。
以前は「研究の段階」と分かったようなことを言っておりましたが……今は永遠に理解できる気がしません。

ただいつも新たな発見には出会うものです。
同じ酸味系のマダガスカルはカカオのボディ感がしっかりしているので、スモークに負けないバランス感や、余韻にチョコレートらしさがありますが、今作ナコーンはフルーティーな酸味の方に振れていてカカオ感が少なめなので、余韻に心地よいスモーキーでフルーティーな香りが残る仕上がりになっています。

タイ・ナコーンだけに夏の印象と思われるかもしれませんが、私にとっては冬の香り。
風邪をひいた時に母が作ってくれた「焼いた梅干しと紫蘇と砂糖で作った温かいオリジナルドリンク」の香りと繋がっています。
普段は梅干し嫌いなのに、そのドリンクは大好きなフレーバーで……よく言う『思い出の味』ですね。
タイナコーンのカカオには梅や紫蘇の印象があるので、スモークしたら、あのドリンクの風味が再現できるんじゃないか！？と閃いて、板チョコレートにしました。

インターナショナルチョコレートアワードで銀賞を頂いた商品でもあります。まさか受賞できるとは思いませんでしたが、私にとっての思い出のフレーバーを皆様と共有できたら嬉しいです。