根元 八幡屋礒五郎 -KongenSweets-

皆さんのご家庭にもきっとある、『七味唐辛子』
テーブルの上からそっと食卓を見守る調味料。その『七味』が何のことか、皆さんご存知でしょうか?

「日本には『三大七味』と呼ばれるお店があって、それぞれのお店によって、配合しているスパイスは違います。
東京の『やげん堀』さんは、生と焼き両方の唐辛子を配合し、京都の『七味家本舗』さんは、青のりや青じそなどを入れています。そして当店、長野の『八幡屋礒五郎』では、陳皮や麻種、生姜などを使っています」

こう語るのは、八幡屋礒五郎の宮川さん。
七味唐辛子の老舗である同店で働く宮川さんは、なんと現在、チョコレート作りを担当しています。

「それぞれのお店で目指している味わいが違うんですね。東京のお店では辛さに深みを持たせているのが特徴です。京都の七味は、京料理の繊細さを損なわないように、香り高さに重きが置かれています。そして八幡屋礒五郎では、古くはこの地で採れた素材を使用した、辛さと香りのバランスが良くとれた地元の味です」

『奥深い七味の世界をもっとたくさんの人に知ってほしい』
そんな思いから生まれた八幡屋礒五郎のスイーツブランド『Kongen Sweets』。
そのラインナップには、七味の材料をブレンドしたここにしかないBean to Barチョコレートが。
そのチョコレートが生まれるまでの道のりをご紹介します。

 

老舗の七味屋、さまざまな挑戦

八幡屋礒五郎は、江戸時代、元文元年1736年に創業した老舗の七味唐辛子店です。
本店を構えるのは長野県長野市大門町。この地は、「一生に一度は善光寺参り」とまで言われたことで有名な、信州善光寺の表参道にあたります。

「七味唐辛子は、軽くて持ち運びやすく、その土地ならではの味を楽しめることから、昔からお土産品として発展してきました。東京の『やげん堀』には浅草寺、京都の『七味家本舗』さんには清水寺が近くにあって、たくさんの旅人が買っていってくれて広まっていったんですね。当店も善光寺のお陰で発展していったお店です。そのため、七味の缶やスイーツのロゴデザインには、善光寺の説話などを取り入れさせていただいています」

そんな八幡屋礒五郎は、現在の社長が九代目。
『もっといろんな方に七味唐辛子を知ってもらいたい』という思いのもと、スノーボードや畑など様々な業種に着手し、2008年にスイーツ部門である『Kongen Sweets』を立ち上げました。
最初のラインナップは、七味の素材を使用したマカロンだったそう。

「ただ七味唐辛子を販売しているだけでは、なかなかお客様の幅が広がりません。そこで、飲食店様やメーカー様向けにカスタムブレンドをしたり、イタリアンやコーヒーのお店とコラボをしたりと、様々な取り組みをやってきました。これまでは和食のイメージが強かった七味ですが、洋食とだったらこんな掛け合わせがあるんだな、と多くの発見もありましたね。そうした知識を反映させたスイーツは、最初は意外に思われますが「おいしい!」と、とても人気があります」

様々なスパイスを配合して、料理や食べ物に合わせた味わいを作るのが、七味を扱う八幡屋礒五郎の真骨頂。甘いものと掛け合わせても、その独特の風味と新鮮さに目を輝かせる人が多かったそう。
人気商品となったマカロンの勢いに手応えを感じた同店は、次なる挑戦としてチョコレート作りに着手。
当時流行の兆しを見せていた、Bean to Barチョコレート作りに着手しました。

『掛け合わせ』が生む新感覚のチョコレート

焙煎機からカカオ豆を取り出すところ。スパイスの焙煎にも使う慣れ親しんだ機械で理想の焙煎具合にコントロールしています

「カカオ豆からチョコレートを作る工程には焙煎や粉砕などがありますが、これらはスパイスを扱う上で欠かせない得意な工程です。そのため、豆から思い通りの味わいを引き出せていることには自信がありますね」

八幡屋礒五郎が、美味しさをつくるときに大切にしているもの。
それは、素材を厳選すること、素材の持ち味を引き出すこと、素材と素材の相性を見極めることです。
スパイスを使用した意外性のあるチョコレートを作るとき、その強みは遺憾なく発揮されます。
産地により味の違うカカオ豆の個性を引き出し、相性のいい素材と掛け合わせて、絶妙な美味しさを作り出していきます。

現在ラインナップしているのは、七味に使われている七種類のスパイスそれぞれを、チョコレートを合わせたフレーバードチョコレート。
ひとつひとつのチョコレートを食べることでそのスパイスの味を知ってもらい、それが混ざって美味しい七味ができることを実感してほしいそうです。

「メインの位置づけの唐辛子のチョコレートには、紅茶やマスカットのような香りがして食べやすいタンザニア産のカカオ豆を合わせています。さっぱりとした紫蘇には、酸味があって自然な形に寄り添えるベトナム産のカカオ豆を。長野では酸味のある紫蘇ジュースをよく飲むので、地元らしい味とも言えますね」

刺激のある生姜や山椒には、トリニダード・トバゴ産のカカオ豆で作ったミルクチョコレートを。スパイスその鋭さをどっしりと受け止めてくれるマイルドなチョコレートはお子様にも人気です。
胡麻との掛け合わせにホワイトチョコレート、柚子との掛け合わせに流行のルビーチョコレートも取り入れて、チョコレートとスパイスの幅広さを感じさせます。

「他のチョコレート屋さんと違い、当店はあくまで七味屋さん、というところにチョコレートの特徴があると思います。カカオ豆やチョコレートとしての美味しさを伝えるよりも、スパイスとして入れている素材の美味しさがしっかりと感じられるよう、重きをおいているんです。山椒、生姜、柚子…などなど、どれも香り高く質のいいものを厳選し、それを邪魔しないようにチョコレートを掛け合わせています。このチョコレートを通じて、スパイスの世界にも興味を持ってもらえたらとても嬉しいです」

素材の美味しさが生き生きと楽しめるスパイスチョコレート。
ぜひその香り高さで、口の中をいっぱいにしてみてください。

根元 八幡屋礒五郎のアクセス・営業時間

根元 八幡屋礒五郎 本店

所在地:長野県長野市大門町83【善光寺表参道】
アクセス:長野電鉄長野線「善光寺下」駅徒歩10分
営業時間:9:00~18:30
定休日:年中無休
URL:https://www.yawataya.co.jp/

根元 八幡屋礒五郎 軽井沢店

所在地:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1178 しなの鉄道軽井沢駅3階
しなの屋KARUIZAWA内
アクセス:しなの鉄道軽井沢駅直結
営業時間:9:45~19:00 ※季節により変動あり
定休日:施設に準ずる

根元 八幡屋礒五郎 MIDORI長野店

所在地:長野県長野市南千歳1丁目22−6 長野駅ビルMIDORI長野店2階
信州おみやげ参道“ORAHO”エリア内
アクセス:JR長野駅直結
営業時間:9:00~20:00
定休日:施設に準ずる

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