OYATSUYA323 おやつや みつみ

BRAND STORYブランドストーリー

特別な日だけでなく、何気ない毎日に寄り添うお菓子


帝国ホテル大阪で11年間修業を積み、韓国の JW マリオット・ソウル、奈良の JW マリオットと名門ホテルでの経験を重ねてきた筒井光海(つつい みつみ)シェフが、奈良の古都・ならまちの路地裏に、小さなお菓子屋さんを構えました。
華やかなパティスリーの世界で研鑽を重ねた技術を、もっと日常に寄り添う形で届けたい。
そんな想いから生まれた「OYATSUYA 323 (おやつや みつみ)」は、特別な日だけでなく、毎日の暮らしに彩りを添える存在を目指しています。



美術から製菓へ
「ものづくり」への情熱が導いた道


「子どものころから『ものづくり』が好きで、将来は職人のような仕事をしたいと考えていました」

筒井シェフは幼少期から美術や図工が得意で、小中高と学生時代は常に5段階評価の「5」を取っていたそうです。
小学生の頃に市のコンクールで特選に選ばれたこともありました。
手を動かして「ものづくり」をする仕事を目指し、美術大学の受験を目指した時期もあったといいます。

「美大受験で挫折して悩んでいたときに、仲の良い友達が製菓学校のパンフレットを見せてくれました。
 その時に、製菓のカリキュラムにデッサンの授業があること、デザイン性が求められる分野であることを知って、お菓子作りに惹かれるようになりました」

お母さんの焼いたアップルパイやチーズケーキを食べることも好きで、お菓子作りが身近にあった筒井シェフ。
美術の塾で学んできたことが生かせるのではないかと考えて、製菓の道へと進むことを決意します。


帝国ホテルでの11年間
厳しさの中で磨かれた技術と精神

製菓学校を卒業後、筒井シェフが選んだのは帝国ホテル大阪でした。
名門ホテルの華やかな世界で、ウェディングなどの「特別な日」をいろどるケーキにも関わりました。

「名門ホテルに入ることで親を安心させたいという想いもありましたし、『環境は厳しければ厳しいほどいい、自分を追い込むことが必要だ』とも考えていました」

帝国ホテル時代の修業は、筒井シェフによれば「今では語れないような、昔ながらの厳しい世界だった」とのこと。
しかし、その環境で11年間、シェフを目指して技術を磨き続けました。

「泥臭い経験も積みながら、コンクールにも積極的に参加し、たくさんの賞をいただきました。
 時代が変わって働き方改革が進められるようになると、休みの日に講習会に行ったり、仕事終わりに自分の勉強のために試作をしたりする時間がとれるようになり、空いた時間で開発に明け暮れていました」


韓国での挑戦
言葉の壁を越えて磨いた「人間力」

10年を超える帝国ホテルでの経験を経て、筒井シェフは次なるステップとして韓国に渡ります。
きっかけは、韓国のホテルのコンサルタントをしていた方からのオファーでした。

「韓国の『JW マリオット・ソウル』で、日本人のパティシエを探している、と声をかけられました。
 ちょうど『これからパティシエとしてどう進んでいこうか』と考えていた時期でもあったので、いっそ言葉の通じない環境で、自分の人間力を磨き直そう! と思ったんです」

31歳でパティスリーやブッフェレストランの責任者候補として赴任。
日本以上に上下関係が厳しい文化の中で、さまざまな苦労があったとのこと。
うまく指示が通らず、一人で朝までかかって商品を作り直したこともあったといいます。

「文化的なギャップはありましたが、一緒に働くスタッフには、楽しく仕事をしてもらえるよう心がけていました。
 職人の成長は、『20代で下積みをして、30代でできることを増やし、40代で形を整えていく』ものだと思っています。
 韓国での2年間は、まさに『器を広げる』時間でした」

 

奈良での再会
恩師から学んだビジネススキル


韓国での契約が満了するタイミングで、筒井シェフは帝国ホテル大阪時代の恩人、白山隆浩シェフ(現・ウェスティンホテル横浜)から誘われて、日本初進出のブランド「JW マリオット・奈良」のオープニングにスーシェフ(2番手)として参加することになります。

「白山シェフは、コンクールなどでご一緒させていただいた、非常に尊敬する方です。
 お声かけいただき、とても嬉しかったですね。
 恩返しがしたいという気持ちもあり、喜んでお引き受けしました」

この奈良での経験が、筒井シェフの独立への大きな転機となります。

「白山シェフからは、お菓子作りだけでなくビジネススキルも多く学びました。
 いつかは自分のお店を持ちたい、という気持ちはずっと持っていました。
 ですので、パソコンの使い方やチームの まとめ方、原価計算、他部署との調整、組織としての動き方など、背中を見ながら、本当に幅広く学ばせていただきました」

「OYATSUYA 323」の誕生
奈良の古都で始まる新たな挑戦


2022年、筒井シェフは独立し、奈良の古い町並みが残る「ならまち」エリアに自身のお店 をオープンします。

「マリオットでの勤務のために奈良に住み、この街がとても気に入ったんです。
 特に『ならまち』エリアは歴史ある町家を改装した雑貨店や古民家カフェなど個性的なお店が多く、大阪や京都からもアクセスがいい。
 もともと観光地としての魅力もあり、いろんな方と触れ合える機会があると感じました。
 何より、街の落ち着いた雰囲気がとてもしっくりきました」

店名は「OYATSUYA 323(おやつや みつみ)」。
やわらかく、親しみやすい店名に込めた想いについて、筒井シェフはこう語ります。

「フランス語の格好良い名前よりも、誰もがイメージしやすい名前にしようと思いました。
 ケーキ屋さんは『特別な日』に行く場所になりがちですが、『おやつ』なら毎日食べますよね。
 日常に寄り添える存在でありたい、という思いを込めました」

路地裏の古民家を改装した、温もりのある空間。
ちょっとした迷路のような道の先にあり、たどり着くまでも小さな冒険のよう。
「アトラクションだと思って楽しんでほしい」と筒井シェフは笑います。
お店の※ Web サイトに掲載された「道案内」を頼り に、ならまちを探索してみてください。

「店内は、落ち着いた、木の温もりを感じられる空間にしています。
接客も『いらっしゃいませ』ではなく『こんにちは』と挨拶するようにしています。
お店というより、家に帰ってきたような安心感を提供したいなと考えています」

 

 


「丸く、丸く」
誰もが楽しめるお菓子へ


おやつや 323 のメニューは、ちょっとユーモラス。
侮れないマドレーヌ「アナドレーヌ」や、大仏さんの顔のクッキーを使ったキャラメルバターサンドなど、思わずクスっとなるお菓子たちが並んでいます。

 

 

「昔は、尖った技術を追求していました。今は逆に、『丸く丸く』を意識しています。
 これまでに磨いてきた技術はそのままに、安心して食べていただける、身近に感じていただける――そんなお菓子を作っています。
 コンセプトは『share happy(シェアハッピー)』
 わたしからお客様へ。そして、お客様からまた誰かへ。
 買って帰ったあとにクスッとしてもらえたり、誰かと一緒に食べながら会話が弾んだり。
 お菓子を通して、そんなハッピーがつながっていけば嬉しいです」

お店のロゴマークのモデルは筒井シェフご自身。
イラストのモチーフは「自由の女神」です。
作るものは自由でありたい、という気持ちを込めながらも、イラストのタッチはあくまで ゆるく、やわらかく。
筒井シェフの哲学がこめられています。

「誰もが知っている素材を、より美味しく、手に取りやすく、少しだけ期待を超えるように作っています。
 目指しているのが『ちょうどいい満足感』です」


これからも、日々に寄り添えるお菓子を


「どんな時でも、それを食べて心が少し落ち着くような、その人に寄り添えるお菓子をこれからも丁寧に作っていきたいです」

帝国ホテルでの厳しい修業、韓国での挑戦、名門ホテルでのビジネススキル習得。
すべての経験を経て、筒井シェフがたどり着いたのは、特別な日だけでなく、何気ない毎日に寄り添うお菓子を作ることでした。
奈良の古都・ならまちの路地裏で、今日も温かな笑顔でお客様を迎える「OYATSUYA323(おやつや みつみ)」。
そこには、長年の経験で磨かれた確かな技術と、人々の日常に寄り添いたいという優しさが詰まっています。

 

インタビュー&執筆:studioKOKS(ショコラナビゲーター)

Favorite : Books / Craftsmanship / Engineering / Folklore / Bean to Bar
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OYASTUYA 323 の店舗情報

所在地:奈良県奈良市餅飯殿町27−1
営業日:不定休(公式のインスタグラムでご確認下さい)
営業時間 :11:00-18:00
公式Instagram 

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