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BRAND STORYブランドストーリー
「人と人の結びつきが、巡り巡ってゆく」
そんな意味をもつ宮古島の言葉、【ゆいまーる】をご存じでしょうか?
『相互扶助』の考え方を表し、助け合いなしには生きられない人間らしさをも表現する言葉。
この【ゆいまーる】の精神を大切に、チョコレート作りを手掛ける場所があります。
埼玉県草加市の、就労継続支援B型作業所『YUI WORK』。
ここでは障がいを持つ人達が、Bean to Barチョコレートブランド『YUI CHOCOLATE』のチョコレート作りを中心とした作業を手掛けています。
YUI CHOCOLATEを立ち上げたのは、現在工場長を務める兼子さん。海外放浪中にBean to Barチョコレート作りに触れ、
その手作業の多さに、多様な人を結ぶ場として可能性を感じたと言います。
「コツコツ作業が得意な方は、カカオ豆の皮むきスペシャリスト。
初期からのベテランさんは、テンパリングや成型作業も担当。
ひとつひとつ箱を組み立て、シールを貼って…彼らの丁寧な手仕事で、美味しいチョコレートが生まれます」
様々な人を繋ぎ、それぞれの楽しさややりがいを高めていくことを大切にする兼子さん。
YUI CHOCOLATEが結ぶ縁の数々をご紹介します。
Bean to Barの世界との出会い
兼子さんとBean to Barチョコレートとの縁は、大学在学中の一人旅から始まりました。
何のプランも決めずにふらりと向かったフィジー。現地で地球の歩き方を片手に、面白そうだからと決めた行き先が、Bean to Barチョコレート作りを手掛けるFIJIANA CACAOでした。
チョコレート作りの場を見せてもらった兼子さんは、元々農業に興味があったこともあり、そのままカカオ農家にも足を運び2週間滞在。
村の生活やカカオの発酵や乾燥などの、チョコレートの原料としてのカカオの生産工程を間近で見ることが出来ました。
その後兼子さんはハワイにあるマノアチョコレート(Manoa Chocolate Hawai’i) で2か月間働きながらチョコレートを学びます。
この頃には既にチョコレートに関わる仕事をしたいと思っていた兼子さん。
頭の中にあったのは、「チョコレートの世界のすそ野の広さがあれば、障がい者の働く場としての機能も果たせるのではないか」というアイデアです。
というのも、兼子さんのお父さんは障がい者向けのグループホームを運営しており「利用者の働く場所を作るとしたらどんなものが良いか」とよく親子で会話をしていました。
身内に障がいを持つ方がいたため、福祉への関心も強かった兼子さん。
海外でチョコレート作りに様々な人が関わっているのを見て、『この業界なら障害を持つ方が活躍できる場所が作れる』と感じ、お父さんと協力して事業を行うことを提案したそう。 このプランはYUI CHOCOLATEの母体である一般社団法人ゆいまぁるから、就労継続支援B型作業所「YUI WORK」を立ち上げる形で実現。
現在、YUI CHOCOLATEでは、障がいを持つ方々が、カカオ豆の皮剥きやチョコレートのテンパリング、成型、パッケージの塗り絵など、さまざまな作業に携わっています。
農家のモチベーションも大切に。カカオ豆の評価基準に注目
日本にはBean to Barチョコレートブランドがいくつもありますが、中でもYUI CHOCOLATEは『カカオ豆の評価基準』に着目してカカオ豆を仕入れてチョコレートを作っています。
美味しいチョコレートができるには、焙煎やコンチングなどの製造工程も重要ですが、そもそもの原料であるカカオ豆の質も重要です。
YUI CHOCOLATEは、㈱トリニタリオから仕入れるトリニダード・トバゴ産のカカオ豆を中心に使用しています。
その背景には、「農家がきちんと評価される仕組みを作りたい」という思いがあります。
「カカオ豆の業界もコーヒー豆の業界と同じように、豆の品質を適正に評価できる統一基準が作られるべきです。そうすることによって、豆の品質が向上し、生産者の収入安定につながります。そこで、YUI CHOCOLATEではできる限り何等かの基準により評価されている豆を選んでチョコレート作りに使っています。地道ながらそういう行動が、統一基準を作る流れに繋がるかもしれないので」(兼子さん)
現在世界中で取引されているカカオ豆の大部分は、市場価格の変動や、需要を満たしたいという買い手の都合・早く現金が欲しいという売り手の都合などによって値段が決まり、豆の質は二の次です。発酵がされていなかったり、カビが生えていたり、ごみが混ざっていたり、という状態で取引されるケースさえあります。
つまり、きちんとした衛生管理を施し、時間をかけて発酵や選別を行って質の良いカカオ豆を作っても、手間をかけずに作った豆と同じ値段で売れてしまう。これでは質の良いカカオ豆を作ろうというモチベーションが生まれません。そこで、カカオ豆の品質を評価する統一基準とそれに紐づいた適正価格を業界全体で認識することが、豆の品質の向上と生産者の収入安定につながると兼子さんは考えています。
YUI WORKで働く人たちだけでなく、農家のモチベーションの事も考えてチョコレート作りに向かう兼子さん。
YUI CHOCOLATEのオンラインショップ やSNSでもカカオ生産者の情報を公開し、チョコレートの向こうにいる人との縁結びに尽力しています。
広がる縁。映画やゲームとのコラボにも積極的
兼子さんが結ぶ縁はそれだけではありません。
チョコレートの販売にあたり、映画やゲームなどと積極的にコラボレーションするのも、YUI CHOCOLATEらしさと言えるでしょう。
2021年には映画『カリプソ・ローズ』とコラボレーション。こちらは同名の歌手の人生を描いたドキュメンタリー映画ですが、カリプソとはトリニダード・トバゴを中心に発達したカリブ海地域の音楽ジャンルでもあります。いわばYUI CHOCOLATEが使うカカオ豆と同郷とも言え、カカオ豆の卸販売を行う㈱トリニタリオ様のつながりで実現しました。日本での上映に合わせてコラボ商品を企画・開発し、トリニダード・トバゴの音楽をよく聴く方々との繋がりができたといいます。
2022年にはゲーム『アイドルマスター SideM』とのオリジナルコラボ商品を展開。YUI WORKSの利用者の方がゲームのファンだった事から始まったこの企画では、ゲームのキャラクター一人一人をイメージした味わいのチョコレートが、ファンの方々の手に届きました。反響は予想以上で、一回切りの販売を予定していた同商品は2022年冬に体制を整え、継続販売に踏み切ることに。
「ファンの皆様のアイマスへの愛の深さ、そんなファンを作り上げるバンダイナムコエンターテインメント様の強さ、そして、私たちのような障がい者支援事業所がアイマスSideMとコラボ
映画やゲームのファンの方々と、YUI CHOCOLATEとYUI WORK、そしてカカオ農園や農家。そのつながりはどんどん広がっています。
YUI CHOCOLATEのおすすめ商品①生ガトーショコラ
おすすめ商品は、自家製チョコレートをふんだんに使ったチョコレートケーキ『生ガトーショコラ』です。
使われているチョコレートの量は、なんと全体の3分の1。
トリニダード・トバゴ産カカオの力強く、複雑で豆々しい味わいが楽しめて、チョコレート好きにはたまらない濃厚さです。
YUI CHOCOLATEのおすすめ商品②テーブルランド
もう一つのおすすめはトリニダード・トバゴ産、テーブルランド農園のチョコレート。
リンゴのような優しい果実味に、ヨーグルトやチーズのような乳味のある発酵感。
ソフトな口当たりで初心者向けながら、チョコレートの味わいの奥深さを感じさせる1枚です。
YUI CHOCOLATEの店舗情報
所在地:埼玉県草加市神明1-7-12-1F 就労継続支援B型 YUI WORK
施設営業時間:9:00〜17:30
商品販売時間 :10:00〜17:00
定休日 :土日祝
アクセス:東武伊勢崎線草加駅より徒歩11分