BRAND STORYブランドストーリー

成田空港から、9時間のフライトを経て、フィジー・ナンディ空港へ。 時差は日本時間+3時間。日本を13時に出発して、その日の19時の到着です。 「本当に来るとは思わなかったよ」 そう言いながら出迎えてくれたのは、こんがりと日焼けした日本人女性。 図越治美さん。ご主人の智仁さんと子供たちと共に2005年にフィジーへ移住し、この地でチョコレートを作っています。 南半球らしい南国の熱気と大地の風を感じますが、まだここはゴールではありません。 カカオの栽培地は、首都のあるヴィチレブ島ではなく、北東部に位置するヴァヌアレブ島にあります。 セスナ機に搭乗して向かうものの、悪天候で着陸できずに、1時間の道のりを引き返すことに。 翌日大型フェリーに乗り込み、半日かけて到着したのが、カカオの島。 車で悪路を3時間揺られ、ついに辿りついたカカオファームでは、いくつもの木がたわわな実をつけていました。 現在、図越さんの作るフィジー産カカオを使ったチョコレートは、 フィジーのお土産品として販売されたり、フィジーの5つ星のホテルやリゾートでショコラティエやパテイシェのお菓子作りに使われています。 そのチョコレートに込められているのは、『農家の生活を支えたい』という想いでした。 FIJIANA CACAOのチョコレート一覧

FIJIANA CACAOができるまで

図越さん一家のフィジーへの移住

図越さん一家がフィジーに移住してきたのは、長男が小学生のころ。 それまで図越智仁さんは、ワイパーの部品を生産販売する会社を、日本で経営していました。 会社は順調でしたが、毎日の大半は仕事ばかり。早朝に家を出て深夜に帰宅することも多かったと言います。 そんな図越さん一家は、家族でゆっくり過ごす時間を作るために、年に2回ほど『バケーションレンタル』を利用していました。 海外の貸別荘を1カ月ほど借りて、ゆったりと過ごす『バケーションレンタル』。 図越さんの出身大学のあるアメリカで利用することが多かったのですが、あるとき転機が訪れました。 ある日、一番上の子が誕生日プレゼントとして、おばあさんから地球儀をもらってきました。 そこで次のバケーションレンタル先を、地球儀を回して、指を当てたところに決めることに。 何もない海をさしたと思われた指をどけると、小さな小さな『フィジー』の文字がありました。 それまでフィジーという国を、名前すら知らなかったという図越さん。 しかし、マリンスポーツ好きだった図越さんは、1カ月滞在したフィジーをひどく気に入ります。 子供たちに「どうだった?」と聞いても「サイコー!!」という返事が返ってきて、『次はここだ』と、直感的に思ったそうです。 その後、順調だった会社を売却し、家族で移り住むことを決心した図越さん一家。 子供が喘息持ちのこともあり、医療が充実していないフィジーへの移住に、奥さんの治美さんは最初は戸惑っていました。 しかし、当時読んでいた本、『沈黙の春』にあったこんな文章に、決意を固めたと言います。 『子供たちが何か学ぶ上で、本当に大事なことは五感を使って学ぶこと』 コンビニどころか電気もない、何もない大自然の中で何かを学ぶ経験は、今しかできないかもしれない。 仕事も家も決めないまま、体当たりの移住生活が始まりました。

カカオとの出会いと、家族の危機

はじめはヴァヌアレブ島のサブサブで、日本食レストランを運営していた図越さん。 ヨットハーバーに隣接したお店の立地は、ハリウッドスターがお忍びで訪れることもある自然豊かな場所で、 営業はそれなりに順調だったと言います。

カカオ豆を割ったところ。チョコレートとは似ても似つかない

あるとき、子供たちが近所のおばあさんからカカオ豆をもらってきます。 はじめはそれが何なのかわからなかった図越さんでしたが、調べてみるとそれがチョコレートの原料だということがわかりました。 そこで、カカオ豆を砕いて焙煎したもの(カカオニブと呼ばれます)をアイスクリームのトッピングにしてみました。 すると、そのアイスクリームが爆発的なヒット商品に。 口コミを頼りにお店を訪れる人が増え、他の島々から水上飛行機で来る人も現れました。 しかし、そのせいで売上が伸びた図越さんのレストランは、家主さんから嫉妬をかってしまいます。 他にもレストランを経営している家主さんに、なんと物件を追い出されてしまったのです。 代わりになるような立地のいい物件がなく、仕事を失った図越さんは、皿や設備を少しずつ売って何とか生活を続ける、辛い時期を過ごします。 日本に帰ろうか、とも考えた図越さん。しかし、当時訪れていた、海外協力隊のシニアボランティアの方に言われた言葉が、図越さんたちをフィジーにとどまらせます。 その言葉とは「ひとつの場所で成功しなかったからって、他の場所にいっても、成功できるわけない」 この地で、何かできないか、と図越さんたちは考えます。 そんな中で思い出したのが、大ヒットになったアイスクリームのこと。 「カカオの、チョコレートの力はすごい」 そう思った図越さんは、フィジーのカカオを使って、チョコレートを作れないかと考えました。

信念を持って受け継がれてきた『フィジーカカオ』との出会い

チョコレートを作るためには、それなりの量のカカオが必要です。 しかし、フィジーの市場に行っても、売られているカカオは3つか4つで、販売されていない日もありました。 周りの人に聞くと『昔はいっぱいあったけど今は全然生えてないよ』とのこと。 カカオはどこに行ってしまったんだろう? そう思った図越さんは、フィジーで農作物を管轄する機関を訪れ、国内でのカカオの生育状況を尋ねました。 すると、ほとんどのカカオ農家が、栽培を辞めてしまっていたことがわかりました。 それは、フィジー政府の国策に原因がありました。 以前、政府はカカオの栽培を奨励しており、収穫ができたら買い取るという約束で、農家に種を配布していました。 しかし、農家がカカオを育てている間に、政府は方針を転換。 せっかく実ったカカオを買い取ってもらえず、ほとんどの農家はカカオ栽培を辞めてしまったそうです。 その話を聞いた後も、図越さんは諦めずにカカオを探し続けました。 しかし、カカオの木は依然として見つからず、見つけられたとしても実も花もつけない野生化した木でした。 元カカオ農家に出会うこともありましたが、政府に買い取ってもらえなかった嫌な記憶が残っているのか、カカオの話をしただけで怒られたこともあるそうです。 しかし、図越さんはそれでもあきらめずにカカオを探し続けました。 道なき道を行きながら、カカオの木を探すこと半年間。 ついに図越さんは、きちんと剪定され、たわわな実をつけるカカオの木を見つけます。

カカオは木に直接実をつける。手入れをすれば何倍にも収穫量を増やせるが、何もしないと野生化して実をつけない

導かれるように林の奥へと進むと、そこには一人の女性がいました。 「このカカオはあなたのカカオですか?」図越さんが尋ねると、 「私は、あなたたちが来るのを、20年以上も前から待っていました」そう彼女は答えたと言います。 聞けば彼女は、祖父の代から続くカカオ農家でした。 カカオの木と共に育ってきた彼女は父親から、「もし、周りがカカオの栽培を止めても、誰かに何かを言われても、絶対にこのカカオの木を守って欲しい。今、誰もカカオの買い手が無くとも必ずいつかきっとカカオを買いに来てくれる人が現れるから。それまでは何があっても切らないで大切に育てていってくれ」と言われてきました。 その父親を急な病気で亡くしても、政府の方針転換があっても、周囲に『カカオのことなんか忘れた方がいい』と言われても、彼女は『いつか誰かが買いに来てくれる』と信じて、カカオを大切に育て続けていたのです。 彼女がカカオの木と共に写る、昔のアルバムを見せてもらった図越さんは、一つの使命感を感じます。 それは、『カカオと農家を守っていくこと』。 フィジーのカカオでチョコレートを作る、その決意が固まりました。

努力の果てに日の目を見た、世界有数の挑戦

カカオからとれた種(カカオ豆)がチョコレートやココアバター、ココアパウダーに加工される

通常、カカオ豆は中南米・アフリカ・アジアなどの産地で収穫され、ヨーロッパ諸国やアメリカなどの工場に運ばれて、チョコレートに加工されます。 2006年当時、図越さんのように教育を受けている人が『豆の産地でのチョコレート作り』に挑戦していたケースは、世界でも他に3例しかありませんでした。 チョコレートを作る方法は工場内で企業機密とされていることが多く、図越さんは試行錯誤の手探りで、チョコレート作りを進めていきます。 もちろんお金もなかったので、満足な設備はありませんでした。 最初に作っていたチョコレートは、香りはいいものの、ざらざらとした食感でくちどけも悪かったそうです。 当初は買ってくれる人は全くいなく、私財を売って生活する日々が続きましたが、それでも図越さんは、途中で投げ出しはしませんでした。 そんな二人のパッションに心を打たれ、徐々に協力してくれる人が増えていきます。 五つ星リゾートのマネージャーが連絡をくれて、アメニティセットの一部に加えてくれるようになりました。 その売上で、卓上サイズのチョコレートの練り機を購入でき、滑らかな食感のチョコレートを作ることが出来ました。 突然、ニューヨークを拠点にカカオの研究活動をする世界でも有名な人から電話がかかってきました。 「君たちのカカオは歴史的にも希少なカカオなんだよ。遺伝子を解明していますか?」と言われ、その言葉に驚きました。 フィジーの首都があるビティレブ島で、複数のホテルを経営するオーナーから、サポートをするから工房を移さないか、と言われました。 移転後のビティレブ島では、ホテルやレストランのシェフが、口コミで工房を探して訪ねてきてくれるようになりました。 イギリスでテレビや雑誌に出演し、自分の工場も持つ有名ショコラティエが、何時間も道に迷った末に工房に来てくれました。 ホテルで行われるフードフェスに参加するためフィジーに来ていたその人の計らいで、フードフェスに集まった世界の料理人たちに、チョコレートを紹介する機会を得ました。

ホテルインターコンチネンタルでのChocolate on the Beachのイベント

多くの人の協力のもと、少しずつ設備を増やし、美味しいチョコレートを作れるようになった現在、 図越さんのチョコレートは、フィジー内のほとんどのホテルでケーキやパンなどのお菓子に使われています。 さらに、リゾートホテルや空港でもお土産として販売され、国連の総会で茶菓子として振舞われたこともあったそう。 2006年当初、出会う人すべてに「そんなのうまくいかないからやめておきなよ」と言われた図越さんの挑戦は、 『フィジー産チョコレート』というまったく新しい市場を作り出したのです。

フィジアナカカオの『農家への支援』

こうして図越さんの活動に協力する人が現れていったのは、図越さんの活動に、『カカオ農家を守る』という理念があるからです。 通常、カカオ農家は、カカオの購買者よりも圧倒的に低い立場にあります。 カカオ豆の粒が小さい、形が悪い、質が悪い、だけでなく、「やっぱりいらなくなった」のような一方的な理由で、豆を買い取ってもらえないことがあります。 しかし、カカオ豆は手放しで収穫できる作物ではありません。 日が当たらないところに植生し、手首を痛めながら剪定し、害虫対策を日々続けなければいけません。 にもかかわらず、サイクロンでカカオが全滅したりすると、購買者は彼らを助けるどころか、他の国のよい品質のブランドカカオに蔵変えしてしまいます。そうすると、農家は1ドルの収入も得られません。 そんな体験は、農家の心を傷つけ、外国人に対する信頼もなくなり、カカオの栽培を辞めさせてしまう、と図越さんは言います。 「ホントにチョコレートを作るなら、生活の末端まで入って、サイクロンで倒れた木を全部取り除き、新たな苗を植えたり、接木したり、次の花が咲くまで、ホントにサポートするくらいじゃないと、チョコレートを作る資格がないと思います。 彼らがいるからチョコレートを作れる。作らせてもらっているんです。 僕たちは、豆の一つ一つについて、誰が作った豆なのか、その家族構成と、買っている犬の名前まで知っています。 フィナウという農家は、『フィジアナカカオのお金で息子が大学に行って、卒業した』と言ってくれた。あれは、嬉しかったですね。」 図越さんは、カカオ豆を一方的に買い取らない、ということはしません。 それだけでなく、カカオ農家のために、あらゆるサポートをしています。 定期的な講習会で、発酵をどのように行うか、農薬を使わないためにどうすればいいか、元からある自然を壊さないようにカカオを増やすにはどうしたらいいか、といったノウハウを伝え、 農家が自立して、質の良い豆を、たくさん、この先もずっと作れるよう導いています。 フィジアナカカオの立ち上げ当初は、協力してくれる農家はほとんどいませんでしたが、 徐々に口コミが広がり、今では多くの農家がカカオ栽培を始めてくれました。 そして、図越さんの『農家を守る』という理念に共感した人々が、チョコレートを買ったり、紹介したりと、協力の輪を作っていったのです。 「農家にとって、カカオ豆は食べ物ではなく、ただのお金になる作物です。 少しでも楽してお金をもらえればいい、と思ってしまうので、いい豆がなかなか作れません。 だから、本当にいい豆を作るためには、信頼関係が必要です。 信頼関係があって、僕たちが大切にカカオ豆を扱えば、それは農家の人のプライドに繋がります。 フィジアナカカオが目指すのは、『厳選された豆を使った美味しいチョコレート』ではありません。 100年先も、フィジーの人たちが自然を守り、プライドを持ちながら、老若男女、すべてのお客様に提供できるようなものを作っていくこと。それが、フィジアナカカオの目指す、チョコレートとカカオ農家の姿です」  

FIJIANA CACAOのおすすめチョコレート

フィジアナカカオのチョコレートは、砂糖もカカオもフィジー産を使用したダークチョコレートを中心に、 コーヒー、チャイ、シーソルトなどのフレーバーチョコレートをラインナップしています。

FIJIANA CACAOのおすすめチョコレート①:72%ピュアダークチョコレート

カカオ豆も砂糖も全てフィジー産の、シンプルなビターチョコレート。 70%とは思えないクセや苦みの無さで、ビターチョコレートが苦手な人でも美味しく食べられます。 逆境を生き抜いてきたフィジーカカオ独特の、花のような香りが楽しめる、バランスの良い味の一枚。

FIJIANA CACAOのおすすめチョコレート②アイランドチャイホワイトチョコレート

暖かい地方でよく飲まれるスパイス入りのミルクティー『チャイ』をイメージしたホワイトチョコレート。 ホワイトチョコレートの甘味共に、13種類のスパイスの香りが口の中いっぱいに広がります。 異国情緒を感じる食べ応えのある一枚です。

その他のFIJIANA CACAOのチョコレート

他にも、コーヒーフレーバーのチョコレート、塩フレーバーのチョコレートなどをラインナップしています。 FIJIANA CACAOのチョコレート一覧  
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