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BRAND STORYブランドストーリー

「安心と驚きがあって、世代やトレンドに関係なく、誰にでも美味しく感じられるものを届けたい。長く記憶に残り続けるクラフトチョコレート作りを目指しています」

そんな将来のビジョンを聞かせて下さったのは、静岡にあるチョコレートショップ「Conche(コンチェ)」のオーナー・田中克典さん
地元静岡のお茶とコラボレーション商品を開発したり、静岡県立美術館が所蔵しているロダンの「考える人」をモチーフにしたチョコレートを制作するなど、次々に革新的な企画・活動をされています。

静岡駅から徒歩約15分。七間町の一角にあるスタイリッシュでモダンな「OMACHIビル」の1Fに、チョコレートショップ「Conche」はあります。
かつて映画館が軒を連ねる大商店街だったこの一帯は現在再開発中。
その一環として2020年2月にオープンしたばかりの施設内には、静岡を代表する個性的な飲食店が集っています。

ビーントゥバーとの出会い、ゼロから作り出せるチョコレートに可能性

学生時代から、理科の実験や調理実習が好きだった、という田中さん。とにかく興味の幅が広く、気になったことは挑戦していたそうです。
大学では機械工学を学び、就職した通信企業では営業をしていました。農業やマルシェにも携わり、酒造メーカーのお手伝いをしていたことも。
たくさんの経験をする中で、いつか「モノづくり」に携わる仕事がしたい、と考えていたそうです。

そんな田中さんがビーントゥバー(Bean to Bar)」のチョコレートを知ったのは、2014年の夏頃。
サードウェーブ・コーヒーの波もあり、シングルオリジン(生産地が限定された)の
原材料を仕入れ、焙煎や淹れ方にこだわるコーヒーショップが増えていた頃でした。
幼少時から何気なく食べていたチョコレートも、珈琲と同様に、豆の産地や焙煎によって違いが出る……ストーリーがある。
そして今なら、大手製菓メーカーだけでなく一個人の手でも作ることができる。
これまでの価値観が覆されるその事実に衝撃を受けました。

「ビーントゥバー(Bean to Bar)」に興味を持った田中さんは、早速クラフトチョコレートの食べ比べをすることに。
当時入手できたチョコレートは、どれも原料の豆や製法にこだわって作られていましたが、味がマニア向けだなと感じたそうです。
その一方で「親しみやすく、それでいて、美味しく食べられるクラフトチョコレート」もあっていいんじゃないか、と考え始めます。
これまでの食体験を生かせば、子どもからお年寄りまで、誰もがおいしいと思えるチョコレートを、自分の手でも生み出せるかもしれない。
「カカオ豆から作るチョコレート」に強い可能性を感じ、田中さんはビーントゥバーに挑戦することを決意しました。

開業までの道のり

2014年当時、まだ参入者の僅かだったビーントゥバーチョコレートの製造方法やノウハウは、ほとんど知られていませんでした。
発展途上の明確な答えのない新しい業界で、まだ誰も作っていない味を作るのであれば、何とか自分で答えを見つけ出すしかない。
そこで田中さんは、海外の製造者のコミュニティで情報収集を行い、製造機器を取り寄せたり、自宅のキッチンで焙煎をするなど試行錯誤を始めました。
メランジャー(固いカカオ豆を磨り潰す機器)を壊すこともしばしば。使い方を変え、メーカーを変えて、目指す味にするための条件を絞っていく。
トライアンドエラーを繰り返す中で「自分の作りたいチョコレート」の最適な製造方法を考え抜きました。

「とにかく、気になったことは一度、全部自分でやってみないと気が済まないんです」

製造の目途が付いた後は、パッケージ考案のためデザインの勉強も始めました。
どう表現したら作ったものの良さが的確に伝わるだろうか、最適な色や、文字を突き詰めていきます。
また、実際に販売するにあたっては「ビーントゥバーチョコレートという未知の食品」を手に取ってもらうための工夫も必要です。
試しやすいサイズ、値段はどのあたりだろうか。
食べ物へのこだわりだけでなく、営業時代に磨いた顧客視点も取り入れつつ、お店作り、モノ作りを進めていきました。

そして構想から1年後、ついに「Conche(コンチェ)」がオープン。
地元の愛知ではなく、奥様が勤めていた静岡県でテナント探し、相談しながら店名も決めたそう。
(開業当時は現在のOMACHIビルではなく富士山の見える海近くの店でした)
店名の由来になっているのは、チョコレートを練り上げてなめらかにする「コンチング」という工程。
字面や音の響きの可愛さ、そして自分が作りたい「誰が食べても美味しいチョコレート」の重要な工程だと感じ、名付けたそうです。

ユーモアのある実直なモノづくりを

もともと料理が好きな田中さん。
板チョコレートという枠に囚われることなく、これまでにない新しい味や使い方を考案し、商品を作り続けています。
特に目を惹くのは、パッケージの可愛らしいイラストが印象的な、静岡の特産品を使ったチョコレートです。

駿河湾深層水の大粒塩に、ガーナカカオのチョコレート。
サトウキビ糖「よこすか・しろ」に、自家製無添加ホワイトチョコレート。
素材の良さが引き立つ組み合わせが考え抜かれています。
中には駿河湾の桜えびと地元の醤油を使ったチョコレートも。
一見、奇をてらったように感じる組み合わせですが、舌に染み入るような自然な味わいで、一口食べれば、緻密に作り込まれていることが分かります。

「『初めて食べるもの』の印象は、その後の食体験にも大きな影響を与えます。だからこそ、誰にとっても『普通に美味しく』感じられるものを届けたい。Concheのチョコレートが、奥深いビーントゥバーチョコレートの世界への入口になり、心に残り続ける『生まれて初めて食べたクラフトチョコ』になれたらいいなと思っています」

コンビニで手軽にチョコレートが手に入る現代、廉価品と対になる嗜好品として、高級感やマニアックさを出すことはとても大切なこと。
それでも、Concheではあえて「誰にでも受け入れられるビーントゥバーチョコレート」を目指しています。
親しみやすい味わい、買い続けられる価格設定、魅力的なパッケージ……工夫を重ねることで、クラフトチョコレートが持つ魅力を、たくさんの人に伝えたい。より開かれた業界にしたい。
経営者としても製造者としても、マルチに着実に挑戦を続けているからこそ、田中さんが発する言葉には強い説得力があります。

田中さんのチャレンジ精神は創業から7年経った今も衰えることはありません。
目指す味に向けて、新しい製造機器を果敢に取り入れています。
通常オーブンや珈琲豆用のロースターで行われるカカオ豆の焙煎工程には、茶葉用の火入れ機を導入。
加熱ムラを最小限に抑えることで、香りの豊かさを引き出しつつ、雑味やえぐみを抑えられるようになりました。
(地元のお茶農家さんのアドバイスから着想を得たそうです!)

最近では、より多彩なお菓子作りを見据えて、エンローバー(チョコレートの温度を調整したり、コーティングするための専用機器)を導入しました。
機械工学を学んでいたとはいえ、初めて扱う機械は分からないことだらけ。
それでも「自分の手で触れ、自分の頭で答えを探し、試行錯誤するからこそ、できることがある」から挑戦を続ける。
現在は『利便性が高くより広い地域で親しまれる新商品』を試作開発中とのことです。

「チョコレートを通して、原材料の生産者の想いを知ってもらいたい。そして、自分の積み上げてきた経験を活かして誰かの助けになりたい」
より広く、貢献したい――そんなモノづくりへの並々ならぬ情熱が溢れるチョコレート。是非一度ご賞味ください。

Concheのオススメ商品

◆静岡セレクション
山や海に囲まれ、自然豊かな静岡で育まれた食材を使用したチョコレートのセットです。 駿河湾深層水の塩、地元農園のイチゴやみかん、掛川のサトウキビ糖「よこすか・しろ」など、個性溢れる素材とカカオの組み合わせを贅沢に楽しめます。

◆桜えび醤油チョコレート
駿河湾特産「桜えび」と静岡の老舗醤油蔵元の「再仕込み醤油」を使用したチョコレートです。 桜えびと醤油の芳醇な香り、舌に染み入るような自然な甘味と塩味……一見斬新な組み合わせですが、一体感のある繊細で緻密な味わいです。 緑茶や日本酒、焼酎のお供にも!(※静岡セレクションの一部としても、単体でも購入可能です)

◆カカオ産地セレクション/タブレット

産地が異なるカカオ豆で作られた、ミニサイズの板チョコレートのセットです。
カカオ分はどれも70%ですが、ナッツの香ばしい匂いや、フルーツの瑞々しい香りなど地域ごとの風味を感じることができます。

◆カカオ・シーズニング for Meat
静岡を拠点とするスパイス専門家香亀堂監修のカカオを使用した調味料です。
ブラックペッパー、ガーリック、オールスパイスが使われた力強い香りが肉料理によく合います。
挽きが細く、多層感のある香りは一度口に入れたらヤミツキに。
塩は含まれていないので、塩分量を気にせず、存分に香りをカスタマイズできます。

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Conche(コンチェ)の店舗情報

所在地:静岡県静岡市葵区七間町16-7 OMACHIビル1A

営業時間 :11:00~18:00

定休日 :月・火曜(※祝日営業


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