わたし、ローチョコレート

青森の市内に工房とラボを構える「わたし、ローチョコレート」
ブランド創立者である中村公一さんの
『自分と同じようにアレルギー症状の出る子でも、安心して食べられるチョコを作りたい』
という想いから生まれたローチョコレートや、地元の素材を使用したガトーショコラを製造販売しています。

ローチョコレートとの出会い

青森で生まれた中村さんは、東京の大学に進学し、都内の映像制作会社を経て渡米。
現地のレコード会社で
ジャケットやミュージックビデオの制作、ブランディングに携わっていました。
在米中に現地の友人からオススメされたローチョコレートが、後に『わたし、ローチョコレート』を誕生させる大きなきっかけとなります。

「もともと自分はチョコレートが大好きだったんですが、受け付けない成分があったみたいで、生死に関わる重篤な症状ではありませんが、身体が痒くなったりしてました。それでも食べたくて、痒くなって、を繰り返してて……ところが、そのチョコレートは痒くならなかったんです」

自分の身体にとって心地よい、しがらみなく食べられるチョコレートが存在する……長年感じていた不自由さから一気に解放され、新たな世界が拓けたような心地がしたそうです。

帰郷、改めて実感した青森の魅力

その後、ご両親の他界をきっかけに31歳で帰郷した中村さん。
久しぶりに踏んだ故郷の地で、それまでは意識していなかった青森の自然と食の豊かさに心動かされたそう。

「空気が美味しくて……山が近いからいつでもキャンプもできる。温泉も海もあるし、食べ物も美味しい。この町を『もっと面白くしたい』と思いました」

改めて地域の可能性を見出すと共に、かつて親しんでいたブルックリンの街を青森で再現したい、というアイデアが浮かびます。

「同一の規格の店舗が立ち並ぶのではなく、個人個人が好きな事業をする多様性の街――ブルックリンはそういう『面白いお店が集まる』街でした。だから青森も、面白いお店が増えたら、面白い人達が集まってくるんじゃないだろうか……そう考えたんです」

そこで思い出したのが、かつて渡米時に出会ったローチョコレート。青森では馴染みが薄く、まだ誰も作っていないプロダクトを生み出せたらきっと面白い。さらに、過去の自分と同じような悩みを抱えていた人達も、安心してチョコレートを食べられるようになるかも知れない。

『自分だけでなく、周囲の人達の人生もより豊かにしたい』――こうした中村さんの想いと、これまでの経験、帰郷のタイミングが重なり「わたし、ローチョコレート」の前身となる「WHAT A WONDERFUL CHOCOLATE」は2015年に青森の地で産声を上げました。

青森から「ローチョコレート」を広めたい

前職で培ったスキルとアイデアを生かし、手掛けたプロダクトの魅力を自ら伝えてきた中村さん。
「WHAT A WONDERFUL CHOCOLATE」で販売されていたローチョコのパッケージも、御本人が手掛けていたのだそう。
そのスタイリッシュなデザインは、旅行に来た著名人の目に留まるなどして、口コミで徐々に日本中に広がり、リピーターも増えました。

そして2023年、カカオ豆の選別からチョコレートへの製品化まで一貫して行うBean to Bar(ビーン・トゥー・バー)製法を採用したことをきっかけに「WHAT A WONDERFUL CHOCOLATE」は「わたし、ローチョコレート」として、新たにスタートしました。
原材料はカカオ豆ときび砂糖のみ。一個一個のカカオ豆の風味や特性を最大限に引き出したローチョコレートは、中村さんが長年思い描いていた理想のチョコレートでもあります。

「自分の価値観を変えてくれた『ローチョコレート』の良さを、必要としている人達に届けることは勿論、ブランドや商品をより身近に感じられるよう工夫もしていきたいと考えています。『青森りんごをたくさん使った生ガトーショコラ』もその1つですね。まず『青森ならではの素材を生かしたらどうか?』というアイデアから開発が始まって……そこから『同じ青森の林檎から作っているアップルブランデーも使ってみよう』と改良を加えたり『冷凍しても美味しいね』と食べ方の提案をスタッフで出し合ったりして、少しずつ進化しています」

自分が幸せになるためには、自分の周囲の人達が幸せになることが必要不可欠。自分自身の人生を面白くするために、何をしていくか……中村さんの挑戦はさらに先の未来を見据えています。

「もちろん、アレルギーの原因や症状は人それぞれなので『うちのローチョコレートでアレルギーは起きません』と断言はできません。でも可能な限り、誰もが美味しく安心して食べられるチョコレートを目指したいですね。自分としては『中の栄養分が壊れていないこと』が重要だと思うので、大学などの研究機関に協力を仰いで、ロジカルな面でもチョコレートを追求していきたいです。今後はさらに、カカオ豆の栽培地で行われる『発酵(香り物質を生成する作業)』にも関わって、これまでにないチョコレートを生み出せたらいいなと考えています」

食べる人にとっても、作り手にとっても面白いブランドでありたい。『素材の魅力』を、携わる人達と共にデザインし発信していきたい。
青森で「人生が面白くなる」挑戦を続ける「わたし、ローチョコレート」のチョコレート、是非体感してみて下さい。

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