BRAND STORYブランドストーリー

「『CACAO BRAVO!』という店名は『カカオは凄く”ブラボー”な植物なんですよ!』という賛辞と共に『皆の人生が”ブラボー”であって欲しい』という願いも込めて名付けました。
カカオを栽培している生産者、カカオをチョコレートにする製造者、チョコレートを楽しむ消費者、お互いにエールを贈り合いたい。熱がこもった溶けちゃいそうなチョコレートを作れたらいいな、と思っています」

そうお話して下さったのは『CACAO BRAVO!(カカオブラボー)』の生みの親、中村幹子さん。精神保健福祉士として患者さんの訪問ケア等も行うかたわら、チョコレート工房の運営にも携わっています。
静岡市内の閑静な住宅街の一角にある店舗は、工房と喫茶が一体となったシックな空間で、訪れる人々の癒やしの場にもなっています。

 

カカオに魅了されて

中村さんがチョコレートを作ろうと思い立ったきっかけは、お母さまの看病だったそうです。

「母はチョコレートが大好きだったんです。病を得て、いろんな物が食べられなくなっていく中で、最後の最後まで食べていたのがチョコレートでした。咀嚼しなくても溶ける、幸せな気持ちになれる……どんな状態であっても、老若男女関係なく受け入れられる食物なんだなって実感して……それで、自分の手でも作れたらいいなと思って調べていたら、豆から手作りする『クラフトチョコレート』という文化を知ったんです」

もともとフラワーアレンジメントの講師や、農業と福祉の就業マッチングを支援するNPOの立ち上げなどもしてきた中村さん。
原料のカカオが植物であることに、強く惹かれたんだそう。

「その頃、訪問ケアしている患者さん達が社会と接点を持ち、就労を目指せるような作業のできる施設を立ち上げようと考えていました。どういった施設にしようか、チョコレートはどうだろうか、カカオから手作りすることもできるんだ……とカカオに興味が湧いてきた時、ちょうど機織りのレッスンでハワイ在住の方に出会ったんです。それで『カカオってハワイにもあるんですか?』って聞いてみたら『うちで育てているよ!」って。ビックリしちゃって『じゃあ実際に見せてもらうこともできる?』『いいよ』ってどんどん話が進んで、実際にその方の暮らすカウアイ島を訪ねたんですよ。そこで木になってるカカオポッドを間近で目にして、カラフルで綺麗だなって。とても感動しました」

「ハワイでは、カカオ豆をすりこぎで粉砕してみたり、パスタマシーンで細かくしたりして、実際にチョコレートを作る体験もしました。果物だったはずのカカオが、茶色いペーストに変わって、まるで別物に変化していくのが不思議でしたね。果実を収穫してからお菓子になるまで、これだけ複雑な工程を経ているものが、世界中に広まって愛されていることに改めて驚きました。同時に、自分の手でも何とかできそうだな……よし、じゃあカカオ豆からチョコレートを作ってみよう!と。そこが始まりでした」

工夫と癒しのチョコレート作り

ハワイへの訪問で心が決まった中村さんは、患者さんとチョコレート工房を繋ぐための就労継続支援B型事業所「ZAQT(作人:ザクト)」を開所しました。
会社や学校など環境によるストレスでキャリアを中断せざるを得なくなった人達が、自身の体調に合ったペースで活動できる「CACAO BRAVO!」の工房は、多くの患者さんの福祉の受け皿になっています。

「うちでは、カカオ豆の皮を一粒一粒、丁寧に手剥きしています。スタッフの中に治具(工具)に詳しい人がいて、いろんな道具を試した結果、栗の皮むき器とカニの身を穿る器具……この2つが特に良いんじゃないかって話になって。今は患者さんがそれぞれ気に入った方を使って、各々のやり方で作業して下さっています。実際、とても手のかかる工程なのですが、慣れてきた方なんかはもう、職人技だなと思うほど、皮も胚芽も綺麗に取り除いて下さいます」

チョコレート作りを通して自らと向き合い、周囲とコミュニケーションを取っていく中で、心を塞ぎがちだった患者さんが工房の一員として馴染み、笑顔が戻ることもあるそう。

「チョコレートがそもそも何からできているか、普段考える機会ってほとんどないと思うんです。そういう意味でも、カカオ豆からのチョコレート作りは、皆さんとても新鮮に受け止めて下さってます。
一緒に皮を剥きながら、今回届いた豆は小さいんじゃない?とか、いつもより大きいねとか。雨が少なかったからかな、とか話が広がったりもするんですね。やっぱり農作物だからブレがあるし、土地柄が出るのかな、繊細なんだね、と……直接カカオ豆に触れることで、流動性のある「カカオ」という植物を、遠い異国で育てている農家さんの存在を実感できるようになっていくんです。世界の広さを実感して、他者への理解が深まることで、自身が抱えている悩みや苦しみも和らぐというか。 均一でない自然と向き合っていると、元気が湧いてくるんです。私も一時、伏せっていた時期があるのですが、病院の温室内で久しぶりに植物の匂いに触れて、とても癒やされたことがありました。命の気配を感じると安心するんですよね」

自然の恵でもあるカカオ豆が、チョコレートというお菓子になるまでの多岐に渡る工程にも、たくさんの気付きがあるそう。

「製品としてのチョコレートに仕上がるまでには、さまざまなプロセスがあって、私はそこも好きなんです。カカオ豆を潰したり、滑らかにする機械にかけたり、型に入れて冷やし固めたり、成型したものを包装したり。工房に来られる患者さんには全部体験してもらっています。チョコになるまでの形状の変化や、販売できる水準の食品を作り上げる奥深さを知ってもらうと同時に、ご自身の得意分野を知るきっかけにもなるといいな、と思っています。
児童強制労働や工業製品としての深い歴史もあるカカオなので『CACAO BRAVO!でのチョコレート作りが、カカオを取り巻く環境を変えていくんだ』という社会貢献性の高さも、患者さん達の自信や誇りに繋がれば嬉しいな、と」

皆が”BRAVO!な人生”を送れるよう、チャレンジし続けたい

カカオや患者さんと真摯に向き合う感受性豊かな中村さん。
たくさんの苦難を見つめ、寄り添ってきたからこその想いが『CACAO BRAVO!(カカオブラボー)』には詰まっています。

「病院に行きましょう、お薬を飲みましょう……そういうサポートだけでは立ち上がれない、よりきめ細かいサポートが必要な人が、実際にはたくさんいるんです。だからこそ立ち上げた事業ではあるんですけど『福祉事業所の工房で作っているものだから買います』という優しいお気持ちだけでは、いずれ回らなくなってしまいます。だからこそ『商品そのものの魅力』を高めていきたいと思っています」

やるからには、トコトンこだわりたい!そう語る中村さんの言葉は、力強く機知に富んでいます。

「まずは味ですね。1粒1粒カカオ豆の皮を手剥きできる環境を生かして、ハイカカオでありながらも、エグみや苦味がまろやかで、カカオ本来の香りが生きるよう仕上げています。『(この食べやすさで)カカオ分、72%なんでしたっけ?』と驚かれる方も多いんですよ。
包装は、食べる際の利便性や機能性も考慮してジップ式の袋にしています。ミニサイズのバーが4つ入り。重くない、シェアしやすい、鞄の中で割れても汚れない。私自身がそうなんですが、仕事の合間にちょこちょこ食べて元気を出したい時ってあるじゃないですか。ヤル気の源というか。かしこまらずに手に取れて、日々身近にある……そんな存在になって欲しいなと思っています。
パッケージのデザインも、一見チョコだと分からないような、幾何学模様を使ったインダストリアルな雰囲気にしています。例えば、ベトナムは赤地に丸がいっぱいあるんですけど、これはベトナムのランタン祭りをイメージしたものなんです。タンザニアはキリマンジャロの山、グレナダは椰子の木、ガーナは現地の民族衣装の柄などをモチーフにしています。視覚的にも産地の魅力や違いを楽しんで頂けたらと」

「店舗は住宅街のメイン通りから外れた区画にあるので、ふらっと立ち寄ってお茶ができる隠れ家的な憩いの場になればと、落ち着いた雰囲気にしています。外観はブルー、内装はグレー、サッシはレトロな鉄製、建て替えで取り壊しになった教会で使われていたヴィンテージの長椅子も置いてます。
お店には、チョコレートを売っていると聞きつけたスイーツ好きな女性をはじめ、単身で来られる方、グループでお越しになる男性のお客様もいらっしゃるんですよ」

目指すのは、誰でも臆面なく立ち寄れるユニバーサルな商品・お店作り。 還暦を過ぎてなお、新しい挑戦をし続ける中村さんは、とてもアクティブで情熱に溢れています。

「それでね、そういう『芯の通ったモノづくり』をしているのが実は『就労継続支援B型』の患者さん達なんです、という流れを作っていけたら、また社会の雰囲気も変わるかなって、思うんです。病は生活の一部。区切れないもの。誰もがなる可能性があります。だから、一度ダメだったら終わり、ではなく、新しい技術や知識を身につけて、誇りを取り戻して、社会にまた羽ばたいて欲しい。持続可能で美味しいチョコレート作りを続けることで、病と社会の架け橋にもなれたらいいなと思っています」

「『CACAO BRAVO!(カカオブラボー)』という店名は『カカオは凄く”ブラボー”な植物なんですよ!』という賛辞と共に『皆の人生が”ブラボー”であって欲しい』という願いも込めて名付けました。
カカオを栽培している生産者、カカオをチョコレートにする製造者、チョコレートを楽しむ消費者、お互いにエールを贈り合いたい。熱がこもった溶けちゃいそうなチョコレートを作れたらいいな、と思っています」

カカオ豆からのチョコレート作りを通して、社会と繋がる、世界が広がる。
中村さんの情熱と癒しが詰まったチョコレート、是非ご賞味下さい。

CACAO BRAVO!のおすすめ商品

◆チョコレート(グレナダ)
さっぱりとしたフルーツの香りと、トーストのような香ばしい風味が絶妙に絡み合うCACAO BRAVO!イチオシの一品です。
工房で一つ一つ手剥きしたカカオ豆ならではの、繊細でクリアな味わいをご堪能下さい。

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ニブシュガー(アーモンド)
焙煎し砕いたカカオ豆(カカオニブ)を、きび砂糖とアーモンドでコーティングした店舗でも人気の一品です。
ガリガリとした軽快な食感と共に、口いっぱいに広がる芳醇な香りとコク深い苦味をお楽しみ下さい。
珈琲や紅茶のお供に、お酒のおつまみにもピッタリです。

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◆カカオティー(ガーナ)
ローストしたカカオ豆の殻をティーバッグに詰めました。お湯を注ぐと紅茶のような色合いの飲料になります。
ガーナ産カカオならではのココナッツのような香ばしく甘い香りを、たっぷりとご堪能下さい。

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CACAO BRAVO!の店舗情報

所在地:〒420-0841 静岡県静岡市葵区上足洗4丁目8−8
営業時間 :10:30-14:30
定休日 :日・月曜日 詳しくはインスタグラムの営業日カレンダーをご覧下さい。(【公式instagram】にて最新情報を発信中)

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