BRAND STORYブランドストーリー
“ショコラで暮らしに彩りを”
素材にこだわったショコラで、食べた人の心を豊かにする。
そんな想いのもと誕生した『Tatsunori Sato』
世界的な洋菓子コンクールで高い評価を得たシェフが腕を振るう人気店「Ma Priere(マ・プリエール)」や、日本のショコラトリーの先駆けとして名高い「銀座和光」で技術を磨いた佐藤辰則シェフは、その洗練された感性を生かして今、日本の食文化とショコラの魅力を発信しています。
「楽しい」を追求した先にあった職業がショコラティエだった
宮城県大崎市出身の佐藤辰則シェフ。現在では菓子職人として華やかな経歴を積み上げていますが、もともと菓子職人を目指して上京したわけではなかったそうです。
「チョコレートに限らず、甘いものは昔から好きでした。ですが、お菓子を作ることが趣味というわけでもなく、その業界に積極的に関わろう!と思っていたわけではなかったんです。ただ、当時住んでいた場所のすぐ近くで、新しいチョコレートショップの販売員を募集していて。へぇ、面白そうだなと軽い気持ちで働き始めたことが、今に繋がっています」
販売員を経験することで、公私ともにスイーツにハマっていった辰則シェフ。お給料が入った日には近所のコージーコーナーに行って、自分のためにケーキを買うのが楽しみだったそうです。
休日にはスイーツのイベントをめぐることも。そこで知り合った出版社の方に依頼を受け、スイーツライターとしても活動をすることに。四六時中スイーツに没頭する日々が続きます。
そうして、さまざまなパティスリーやショコラトリーを取材していく中で、「作り手」を志すことになる出会いがありました。
「取材で偶然訪問した、三鷹の『Ma Priere(マ・プリエール)』の美味しさに、大きな衝撃を受けました。その当時は29歳で、既にたくさんのスイーツを食べてきたのですが、そのどれとも違う。どうやったらここまで美味しいものが作れるのか知りたい、自分自身の手でも作ってみたい。その湧きあがるような感動を猿館シェフにお伝えしたら『近くにあるから通ってみたら?』とすすめられて、辻調理師専門学校に入学することに決めました」
それから生活は一変。講義が終わると、160種類以上のクーベルチュール(製菓用のチョコレート)を使い分ける猿館シェフのもとへ毎日通い、学びながら働くことに。
「納品の仕事に携わりながら、ありとあらゆるクーベルチュールを食べさせてもらいました。猿舘シェフからはとにかく『いろいろなチョコを食べなさい』と言われてました。もともとスイーツは幅広く好きだったのですが、猿舘シェフに直々に教えてもらううちに、どんどんチョコレートの魅力にはまっていきました」
誰よりもチョコレートを食べてきた、と力強く語る辰則シェフ。
今ではクーベルチュールの香りと味だけで、メーカーや産地を判別できるそう。まさにチョコレートを知り尽くすスペシャリストです。
ブランドの一員から、自分だけのオリジナルを生み出す側に
チョコレートの持つ可能性に魅了された辰則シェフは、その後、OEMメーカー、ビーントゥバー、ラグジュアリーホテル、老舗パティスリーとあらゆる業態のスイーツ・チョコレートに携わっていきます。
「実際に、さまざまな業態のチョコレート菓子に触れていると、使う原料も、届ける手段も、経営の仕方もそれぞれで、世界が広がっていくのを感じました。自分の中の引き出しがどんどん増えていくというか。いずれ独立しようと心に決めていたので、気になる業界には自ら飛び込んでいきましたね。最後に門をたたいたのは銀座和光でした。ショコラティエになるきっかけを下さった猿舘シェフ出身のお店であり、ここが一つの区切りというか、ここで自分の磨いてきた腕が通用するかどうか確かめたいな、と。同僚は本当にもう、凄い人しかいないんですよ(笑)負けないぞという気持ちでやり抜きました」
とどまることをしらない行動力で、辰則シェフは、ショコラティエとしての道を究めていきます。
「趣味と仕事の境目がないんです。興味が湧いたものや、楽しいなと思うことをトコトンやり続けています。知れば知るほど、自分ならこれをやりたい、あれをやってみたいという欲求が大きくなっていって。製造技術を磨いて、チョコレートの味や特性を知り尽くしている今の自分だからこそ作れるオリジナルというか、他にはないチョコレートを表現したいという気持ちが強くなったので、独自のブランドを立ち上げることにしました」
こうして誕生した『Tatsunori Sato』のスペシャリテ(自慢の一品)は、奈良の老舗蔵元・油長酒造の日本酒を使用したボンボンショコラ。
実は辰則シェフは、日本酒好きで唎酒師(ききさけし)の資格も持つ、日本酒マニアでもあります。
「スイーツライター時代に、出版社の方とご一緒した小料理屋で薦められて飲んだ日本酒が、それはもう美味しくて。『こんなフルーティーな日本酒がこの世にあるんだ』と驚いて、そこから日本酒にハマって、いろいろ飲み始めたんです。当時はお酒のチョコと言えば洋酒を使用したものが中心だったので、もしかしたら、日本酒を使ったチョコレートも需要があるのではとひらめいたんですよね。でも丹精込めて作られた大切なお酒を使わせていただくために、生半可な覚悟では蔵元に提案も説得もできません。本気度を証明するためにも、唎酒師の資格を取りました。これからも、日本の素材の魅力を、チョコレートを通して国内外へ発信できたらいいなと考えています」
そんな想いの詰まったショコラは、世界的なチョコレートのコンクール・インターナショナルチョコレートアワード世界大会で、初出品にも関わらず銀メダルを受賞。
さらに、醸造元の油長酒造の蔵敷地内には、カカオと日本酒のペアリングを楽しんでいただけるチョコレートショップもオープンしました。
まさに有言実行。思い描いたアイデアを着実に実現させています。
「美味しいものに出会うたび、インスピレーションが湧いてくるんです。この素材はどんな風に作られているのか、とか、ボンボンショコラに入れたらどうなるだろう、と頭の中でレシピを組み立ててみたり。新しいチョコレートの企画のアイデアが、どんどん湧いてくるんです。それを形にしていく過程が、本当に楽しいですね」
アイデア豊富でオリジナリティ溢れる辰則シェフから生み出される『Tatsunori Sato』の珠玉のショコラ。他では味わえない独自の美味しさを、是非ご堪能下さい。