ルビーチョコレートとは?どんな味か食レポ!買えるお店の紹介やピンク色の成分を解説

こんにちは!ショコラナビライターのMallowです! 今回は、第四のチョコレートとしてすっかり有名になった、ルビーチョコレートについて解説いたします!

『第4のチョコレート』とは?

ミルク、ビター、ホワイトに続く『第4のチョコレート』は、2種類の存在が知られています。 まず、2017年9月にバリーカレボー社から発売された、ルビーチョコレート『RB1』。 10年に渡る開発期間を経て、コートジボワール、エクアドル、ブラジルのカカオ豆を特別な製法で加工することで生み出された、ピンク色のチョコレートです。(バリーカレボー社公式サイト) ルビーチョコレートは、赤い果物を想像させる酸味があり、着色料を使わずにお菓子に鮮やかな色合いを持たせられることから、キットカットを始めとした市販のお菓子や、コンビニスイーツ、洋菓子店がこぞって取り扱いを始め、一気に市場に広がっていきました。 もう一つは、2013年にヴァローナ社から発売された「ドゥルセ35%」です。(ヴァローナ社公式サイト) 「ドゥルセ35%」は、ホワイトチョコレートの配合をベースに、8年の歳月を費やして開発され、「世界初のブロンドチョコレート」として誕生しました。 砂糖を入れた牛乳をゆっくりと加熱して作る伝統菓子、『ドゥルセ デ レチェ(Dulce de Leche)』が名前の由来となっています。 なめらかな甘みとほのかな塩味があり、塩キャラメルのような風味が特徴。 発売自体はブロンドチョコレートが先ですが、その人気の高さから、「第四のチョコレート」というとルビーチョコレートの方を連想されやすい傾向があります。

ルビーチョコレートのピンク色の正体に迫る!!

ルビーチョコレートの鮮やかなピンク色は、一体どうやって作られているのでしょうか? バリーカレボー社によれば、カカオ豆に自然に含まれる特別な成分(前駆体)が、濃いピンク色とフルーティーな味わいをもたらしている、とのこと。 ドイツのヤコブソン大学の協力を得て、この前駆体を豊富に含むカカオ豆をルビーカカオと呼び、10年を超える研究の末、適切な選定と加工の技術を確立したのだそうです。

ルビーチョコレートの素、ルビーカカオとは?

では、一体どんなカカオがルビーカカオと呼ばれるのでしょう? バリーカレボー社によると

「ルビーカカオ豆としての特質を決定づけるのは、豆の種類や産地ではありません。重要なのは豆の中身。自然の力によって生まれた貴重な前駆体の有無によって、加工過程でルビーチョコレートならではの色と味わいが現れるかどうかが決まるのです。」(RUBY ENCYCLOPEDIA​​​​~ ルビーチョコレートのすべて~より引用)

とされており、カカオ豆が持つ風味や色合いを、最大限に引き出す「アンロック」という名の特殊製法を使っていること以外は、企業秘密となっています。 ここから分かることは、ルビーチョコレートは新種のピンク色のカカオから作られたわけではなく、私達が普段口にしているカカオ豆から、最新技術でピンク色の色素を引き出して作られている、ということ。 そこで、カカオの特徴や性質を思い出しながら、ルビーチョコレートの色が何を元にして現れているのか、考えてみることにしました。

ルビーチョコレートの原材料は?

一般的に、チョコレートは、カカオマス、砂糖、乳製品、乳化剤、ココアバターなどからできています。 では、バリーカレボー社のルビーチョコレート『RB1』の原材料を見てみましょう。

【原材料】 砂糖、ココアバター、脱脂粉乳、全粉乳、カカオマス、乳化剤(大豆由来)、クエン酸、香料成分比カカオ分47.3%以上、 乳固形分26.3%以上、脂肪分35.9%

原材料表記が砂糖とココアバターから始まっていることから、ルビーチョコレートの配合はホワイトチョコレートに近いようです。着色料は含まれていないため、後半に記載がある少量のカカオマスが、チョコレートのルビー色に関わっていると推測します。 (チョコレートの種類について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧下さい!) バリーカレボー社は、2021年4月28日、RB1のカカオマスを2.7倍に増やした「ルビーインテンス」という新商品を発表していますが、こちらの方がより鮮やかな色をしていることからも、カカオマスがルビー色の鍵である可能性は高そうです。 そして、普通のチョコレートにはまず入ることのない『クエン酸』も含まれていますね。一体どんな目的で加えられているのでしょうか?

ルビーチョコレートだけが持っている性質

ルビーチョコレートは、クエン酸によって、酸性レベルがpH5.4になるよう調整されています。 (参考:着色料の基礎講座⑥~pHによる色の変化について~) これは、組み合わせる素材によって、チョコレートの酸性成分が中和され、pH値が上昇すると色が変化する特性を持っているためです。 ルビーチョコレートに水分を含む素材を加える場合、pH値を確認する必要があります。ピンク色に戻したい時は、酸性の素材(ピューレ、果汁、クエン酸など)を加えて、酸性レベルをできるだけpH4に近づけるよう、調整しなければいけません。 ルビーチョコレートの色が変わる様子は、こちらの動画がとても分かりやすいです!(3:30頃) (ルビーチョコレートを使った基本のボンボンショコラ ガナッシュレシピ公開!!【RUBY CHOCOLATE】 pH値が整えられている固形の状態では、鮮やかなピンク色ですが、他の液体を加えるとアルカリ性に傾き紫色になってしまいます。酸性の液体を加えると、元のピンク色に近づく様子が確認できます。 さて、この性質を聞いて、ピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ルビーチョコレートのピンク色を引き出している物質とは?

皆さんは、紫キャベツの実験をしたことがありますか? 紫キャベツの煮汁に、お酢やレモン汁を垂らすと液体の色が赤くなる、というものです。 この実験の核となっている物質は「アントシアニン」。 植物が紫外線などによるダメージから身を守る為、光合成を行う際に作り出す物質です。 アントシアニンは、「アントシアニジン」「糖」で構成されたポリフェノールの一種で、青紫色の天然色素としても有名ですよね。 アントシアニジンは、特にブルーベリー、クランベリー、ローズヒップなどの、紫や赤色の植物の皮、ブドウ種子に多く含まれており、pH値によって構造が変わることで、色調が変化する性質を持っているのです。 (参考:赤シソや赤キャベツの煮汁にお酢を加えると色が変わるのはなぜですか? 実はこの物質、カカオ豆にもたくさん含まれていることが分かっています。 ルビーチョコレートの特性はまさに、アントシアニジンによるものなのではないでしょうか。 ルビーチョコレート特有の爽やかな酸味も、このクエン酸が関係しているのではないかな?と筆者は考えています。

カカオはpH値によって色が変わる?

その他に、カカオのpH値を変える方法として、一般的に知られているのは『アルカリ処理』です。 もともと酸性であるカカオニブやカカオマスを、アルカリ水溶液で処理することで、中性に近づける方法。 主に、ココアパウダーを作る際に用いられます。 この処理を行うことで、

①ココアバターを絞る為にカカオの組織を軟化させる ②酸味、渋みを減らし、まろやかな風味にする ③暗褐色〜赤色の色調変化を促す

といった効果を引き出すことができます。 アルカリ処理の色調変化は、カカオに含まれるカテキン類が、部分的にアントシアニジンや、酸化誘導体に変化することで起こります。 ロースト前に行うと、ロースト後のカカオの香りが強まることも判明しており、アルカリ処理を経たカカオマスやココアパウダーは、特有の香味を作るために、チョコレートに配合されることもあるそう。 しかし、カカオマスにアルカリ水溶液を添加すると、高粘度で扱いが困難になり、過剰な水分の除去には特別な処理が必要になります。 ルビーチョコレートのように、チョコレートの色調変化のために利用する、という観点では、限界があると言えそうです。

カカオ豆のポリフェノール量は発酵によって減少する…

ルビーチョコレートの色に、ポリフェノールが関わっていることは確実だと考えます。 しかし、カカオ豆の中に存在する多くのポリフェノール化合物(フラボノイド類)は、発酵の過程で酸化、重合、流出が起きることにより、50%は失われてしまうのです。 (カカオの発酵について、詳しく知りたい方はこちらの記事をごらんください!) 未発酵カカオのポリフェノール量は、発酵済みカカオと比較して、

総ポリフェノール量 約1.5倍 フラバノール 約3.0倍 プロアントシアニジン 約2.5倍 (「酵素処理によるカカオ豆収れん味の抑制」吉山正章,伊東禧男 日本食品科学工学会誌 1996年43巻2号p.124-129より引用)

と、大きく差があり、発酵前のカカオはかなりの苦味と渋みを持っています。 中でもフォラステロ種、トリニタリオ種は、ポリフェノール含有量の多さから、カカオの胚乳も紫色をしています。

プエルトリコ産トリニタリオ種の断面。
(写真提供:@cacaonote様)

ルビーカカオの産地とされている、コートジボワールエクアドル、フォラステロ種のカカオの生産が多いことから、関連性も高そうですし、色素をより多く取り出すなら、未発酵カカオ豆の方が適していそうな印象。 こうして発酵を終えたカカオのポリフェノールのうち、アントシアニジンはカテキンなどのユニットと重合して無色の「プロアントシアニジン」となり、エピカテキン・カテキンと共に残存し、胚乳も紫色から茶色に変化します。 ポリフェノールを半分も失った発酵カカオでは、もう色素は取れないのでは…と思ったのですが、なんとこの『プロアントシアニジン』酸性下で加熱されると赤色になる特性を持っているのだそう。 (参考:れんこんのゆで汁の赤変-愛知県衛生研究所-) (参考:プロアントシアニジン-wikipedia-) 筆者は、"発酵・乾燥を終えたカカオ"に色調変化を促す鍵として、クエン酸が関わっているのではないかな??と推測しています。

推測のまとめ

これまでの推測をまとめます!

・RB1のカカオマスを増やすと色が強まることから、ルビー色はカカオマスの部分に含まれているのでは? ・pH値によって色が変化することから、ルビー色の正体はアントシアニン(アントシアニジン)ではないか? ・色素がより多いのは未発酵豆だが、発酵後の豆にも、酸と熱によって色調変化を促す方法(コンチング、ローストなど…)がありそう

筆者は理系ではないので、ここまでの推測が限界でしたが、カカオの中に『赤い色調』が眠っていることは確かであると分かりました! 企業秘密とされているルビー色の正体に、なんとなく迫れたのではないでしょうか! また、この記事を書き終えた3/30、「明治2022Newアクション」の第1弾発表会(2022年3月28日開催)にて、カカオニブから抽出されたピンク色のエキス、「カカオフラバノールエキス」が発表されたことがニュースとなりました。 松田克也社長はこの発表の中で、「何十年間も日本人は、『カカオ=チョコレート=茶色』で来ている。(豆を)絞ると、ピンク・赤になる。『それがカカオです』と言っても、なかなか理解できないと思いますので、しばらくは『カカオの未来を拓くんだ』と、概念を壊したい。」と話しています。 カカオニブを絞って作られる…ということは、きっと焙煎も終えていますよね…? 「発酵後のカカオにも赤色の色素がある」と推測した筆者も、なかなか良い点をつけていたのでは?とホッとしています。笑 明治グループは、この「カカオフラバノールエキス」をソルベとして試験販売し、22年度中の一般販売を計画しているそう。 いつかこのエキスがチョコレートとなったものを、口にできる日が来るかもしれません! ルビーチョコレートの謎が解明される日も近そうですね!! (参考:生産者に配慮し、ムダのない「カカオ」活用を! 「歴史に一石投じる」チョコレートの明治、新プロジェクト始動−j-cast.com−)

ルビーチョコレートってどんな味?実食レポート!

その鮮やかな色と話題性から、発売当初は一部店舗以外では入手困難だったルビーチョコレート。 最近では、バレンタインやホワイトデーで盛り上がるチョコレートシーズンや、桜の似合う春先に、コンビニやスーパー、カフェなどでも気軽に手に入るようになりました。 今回はその中でも、元祖ルビーチョコレートとして販売されたキットカットと、ショコラナビおすすめのタブレットをご紹介します!

おすすめルビーチョコレート①ネスレの『キットカットサブリムルビー』

キットカットサブリムルビーは、世界で初めて、ルビーチョコレートを使用して作られたお菓子2018年1月18日に発売されました。 このお菓子を発売したのは、今から約92年前に、世界で初めてホワイトチョコレートを世に送り出したNestle社だというのですから、大変な歴史を感じますよね! 発売当初は各所で大変話題になりました。

2018年2月に足を運んだ催事の様子。

筆者も同年2月、たまたま足を運んだ催事でこの商品を手にしています。 (キットカット ショコラトリーサブリム ルビー公式サイト) 当時、ルビーチョコレート製品を口にするには、このキットカットを買うくらいしか方法がなく、大変貴重なチョコレートでした。現在は、公式オンラインショップはもちろん、amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどでも購入できます! キットカットショコラトリーは、「ル ショコラティエ タカギ」のオーナーシェフ、高木康政氏が全面監修をしている、キットカットの高級シリーズです。 ルビーチョコレートを纏ったサブリムルビーは、ラズベリーを連想させる、爽やかな酸味が印象的!お馴染みのサクサクウエハースとの相性もばっちりです。 初めて食べたとき、本当に果物も何も入ってないの?!と驚いたのを覚えています。

おすすめのルビーチョコレート②根元八幡屋礒五郎 SPICE CHOCOLATE 柚子 RUBY

ショコラナビイチオシのルビーチョコレート! 1736年創業の七味唐辛子の老舗『根元 八幡屋礒五郎』は、「もっといろんな方に七味唐辛子を知ってもらいたい」という思いのもと、七味に使われるスパイスを使用したチョコレートを販売しています。 こちらのタブレットは、ルビーチョコレートに完熟柚子をブレンドした一品! ルビーチョコレートの爽やかな酸味の奥から、キュンと広がる柚子の甘み、優しい香りとまろやかな口溶けに癒やされる1枚。果汁が滴りそうなジューシーなチョコレートです! (根元八幡屋礒五郎 SPICE CHOCOLATE 柚子 RUBY)

ルビーチョコレートはどこで買えるの?

製菓用のルビーチョコレートなら、お取り寄せも出来て手堅い!

手軽に手に取れるようになってきたとはいえ、まだまだ貴重であることに変わりないルビーチョコレート。 スイーツやお菓子として市場に出回るルビーチョコレートは、季節限定とされていることが多く、時期を過ぎると一気に姿を消してしまいます。 手堅く手に入れるなら、製菓用のルビーチョコレートがおすすめです! ◆富澤商店 ルビーチョコレート 200gcotta ルビーチョコ 100gAmazon ルビーチョコレート カレボー RB1 500g

成城石井には常時取り扱いあり!

また、成城石井では、個包装のルビーチョコレートを二種類見つけることができました。 店員さんに聞いてみたところ、こちらの二種類は通年取り扱いのある商品のようです。 無性にルビーチョコレートを食べたくなった時に駆け込んでも安心ですね!

成城石井で買えるルビーチョコレート①ナポリタンチョコレートルビー

まず一つ目、ナポリタンチョコレートルビー。(税込¥1,718) (20%引きでした?) この商品のプライスカードには、「北イタリアの老舗チョコレートメーカーから直輸入」、と紹介されていました。一体どこ?と思って調べてみたのですが、明確な会社名を示す情報は見つからず。 しかし、使用されているのがバリーカレボー社のルビーチョコレートであることは、間違いなさそうです。 (参考:成城石井バイヤーが海外展示会で見せた本気 「ナポリタンチョコレート」輸入秘話-ダイヤモンド・チェーンストアオンライン-) 中身を取り出してみるとこんな感じ! 包装紙も表裏で柄が違ってかわいいです。 内容量は295gと、かなりの大容量!枚数を数えてみたら、64枚も入っていました!! ナポリタンチョコレートは、フルーティーさよりはミルクの風味を強く感じるルビーチョコレートです。 まろやかな口溶けの奥から、ふわりと広がる酸味。どこか懐かしい、いちごミルクのような優しい風味に癒やされました。 酸味よりミルキーさを求める方におすすめです。

成城石井で買えるルビーチョコレート②ハート型ルビーチョコレート

2つ目は、ハート型ルビーチョコレート。(税込¥746) (お得でうれしい☺️) こちらには、裏面に国内製造の記載があります。 ハート型の可愛いチョコレートが、透明の袋に個包装されています。20袋入り。 ツルン、とした可愛い形です! ナポリタンチョコレートに比べ、こちらは口に入れた瞬間からしっかりと酸味を感じます。 ベリーというよりは、レモンのような風味が強いですね。甘酸っぱい気持ちがたくさん詰まっていそうなハートチョコです。 ルビーチョコレートの酸味を思いっきり感じたい方にオススメ! 以上、ルビーチョコレートのご紹介でした。 あの愛らしいピンク色の正体が、着色ではなく化学変化によるものだとしたら、なんだかとっても興味が湧いてきませんか?! まだ食べたことがない方も、この機会に是非お手にとってみてください! 新しい世界への扉が開けるかもしれません!

この記事のライター:
ライター:Mallow
テディベアを愛するチョコレートLover!チョコの歴史や誕生秘話に強く惹かれます。個性豊かなアーティストベアと共に、チョコレートの魅力を発信中! クマだらけのHPはこちら! 今回登場したベアの作家さん[chisa bears]
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