チョココラム

世界と日本のチョコレートメーカー 一覧&売上・シェア比較

誰もが食べたことがある、身近なお菓子『チョコレート』
近年のハイカカオブームに乗り、チョコレートの消費量は年々増えています。
今回はそんなチョコレート業界を支える『チョコレートメーカー』についてご紹介します。

チョコレートを製造しているメーカーは国内だけでも400以上、世界を見渡すと数え切れないほど存在します。
また、一口に『チョコレートメーカー』といっても、扱う商品は様々。
カカオ豆を原産地から仕入れてカカオマスやクーベルチュールを製造するメーカーや、それらを仕入れてお菓子を製造するメーカーもあります。
その両方を兼務しているメーカーもあります。

業界図は大まかにこのような感じになっています。我々が日常的に購入している場所はいわゆる「小売店(スーパー・コンビニ・百貨店・洋菓子店)」ですが、手元に届くまでにカカオは遥かな旅と加工を経てチョコレート菓子になっている、ということです。今回は、そんな多種多様に渡るチョコレートメーカーについて、深堀りしていきます。

日本のチョコレート菓子のメーカー

まずは、日本国内のスーパーやコンビニ、百貨店などで購入できる『チョコレート菓子』のメーカーについて。

チョコレート菓子を扱う日本の企業としてまず名前が浮かぶのは『明治』『ロッテ』『森永』『江崎グリコ』あたりでしょうか。これらの4社は売上のシェアからみても主要なメーカーです。

一方、企業名はパッと思い出せなくても、誰もが知る看板商品を持つメーカーもあります。
例えば『白い恋人』の石屋製菓、『ブラックサンダー』の有楽製菓など、製造ブランド名より先にパッケージや味が浮かぶのではないかと思います。

さらに、看板商品を持たず、他社からの依頼でチョコレートの製造を請け負う『OEM生産』を行うメーカーもあります。
最近増えているコンビニのプライベートブランドでは、お馴染みの菓子メーカーが製造を担っていることも。
パッケージ記載の原材料表で製造場所が分かるので、そのルーツをたどって想像してみるのも楽しいですね。

またコンビニで入手できる手軽な菓子(価格帯:約20-150円)とは別に、百貨店で見かける贈答用や高級志向(価格帯:約1000-3000円)メーカーも我々の身近になってきています。近年ではGODIVAなどの高級ブランドがアクセシビリティを高めるため果敢にコンビニ進出しています。ローソンとのコラボスイーツ、セブンイレブンとのアイスコラボが代表的なところです。

おやつの健康or高級化傾向も進んでいます。カカオ分の高さやポリフェノールの効果を謳う製品や、味わいやパッケージの凝ったチロルチョコやブラックサンダーなどを見かける機会も増えていますね。
高級チョコとおやつの境目が少しずつ交わってきており「今食べたいチョコを選び、どこでも購入しやすい時代」になりつつあります。
さらにチョコレート専門の洋菓子店だけでなく、クラフトチョコレートメーカー(豆を仕入れてチョコを手作りする店)も年々増えており、チョコレート業界の多様化が進んでいます。

日本のチョコレート菓子メーカーと定番商品一覧

この項では、日本に点在する代表的なチョコレートメーカーをリストアップし、一覧にしています(アイウエオ順)
普段何気なく買ったり食べたりしているチョコレート菓子ですが、多種多様なニーズに合わせて、多くの企業が日々試行錯誤を続けています。

◆コンビニやスーパー等で買えるチョコレートのメーカー

◆お土産や贈答用などの高級チョコレートメーカー(日本法人の存在する海外ブランド含む)

◆ODM(受託開発)/OEM(受託製造)

◆チョコレート専門の洋菓子店

テオブロマ……サンフォアキンドス、キャビア(缶)
ショコラティエ パレドオール……パフェ パレドオール、獺祭ショコラ
LE CHOCOLAT DE H……ボンボンショコラ、ショコラユニバース、ショコラクロッカン

◆クラフトチョコレートメーカー

DANDELION CHOCOLATE (ダンデライオン・チョコレート)……CHOCOLATE BARS、H₂O CHOCOLATE ムース
Minimal (ミニマル)……Bean to Bar 板チョコレート、生ガトーショコラ
Dari K (ダリケー)……カカオが香る生チョコレート、カシューチョコ、はちみつカカオ
green bean to bar CHOCOLATE (グリーンビーントゥバーチョコレート……CHOCOLATE BAR、マンディアン、グラノーラ

日本代表するチョコレート菓子メーカーの売上シェア

数多くのチョコレート菓子のメーカーがありますが、日本のチョコレート菓子の売上のほとんどは、『明治』『ロッテ』『森永』『グリコ』の大手4社に占められています。
下記グラフは、2020年度各社決算情報をもとに作成したショコラナビ推測シェアです。

参照サイト
(1)ロッテ公式ホームページより
(2)明治「2020年3月期決算短信補足資料」P11 より
(3)グリコ「決算説明会資料」2020年12月期」p12 より
(4)森永「2020年3月期決算説明会資料」P41 より

明治・ロッテが二強、グリコと森永も確固たる地位を築いています。
ランキングシェアには表記しておりませんが、ネスレのキットカットや、ブルボンのアルフォートも根強い人気+売上を維持しています。
下記より、シェアが高い順に各チョコメーカーを詳しく紹介します。

meiji (明治)


お馴染みの板チョコレートの他、形状の可愛い『アポロ』や、不思議食感の『ガルボ』、『たけのこの里&きのこの森』シリーズもロングセラー。
近年ではそれらの味変(いちごや抹茶などベーシック寄りラインだけではなく、健康志向のハイカカオや、全粒粉+ベネズエラカカオまで!)
健康効果に着目した『チョコレート効果』など、甘いだけではないチョコレートの魅力も発信しています。

大手チョコレートメーカーとして初めてBean to Barをコンセプトにした『明治・ザ・チョコレート』も根強いファンがいます。
パッケージもオシャレで、SNSでザチョコの箱を使用した工作なども流行していました。
実はこちらのシリーズは「カカオの産地」によって味が変わるという、業界の常識を覆すコンセプトで作られています。
世界的な品評会(CCC/ICA/AoC)での受賞歴もある品質の高さです(品評会の詳しい解説についてはコチラから)
 
加えて、毎年バレンタインの時期に合わせてカカオの可能性のフォーカスしたチャレンジ精神に満ちた商品も販売しています。
こちらは2021年に発売された『発酵』『焙炒』それぞれのアソート。製造過程がチョコの風味に及ぼす影響を体感できる貴重なセットでした。
日本中にチョコレート菓子を販売しているだけでなく、『カカオ』の啓蒙活動も積極的に行っている、日本を代表するチョコレートメーカーです。

参考:株式会社 明治 公式サイト

LOTTE (ロッテ)


赤いパッケージが印象的な『ガーナ』板チョコレートの他『コアラのマーチ』や、食感が楽しい『紗々』もロングセラー。
冬季限定の『Rummy』に加え、レモンやコーヒーなどのリキュールが入ったお酒チョコのバリエーションも増えています。
子供から大人まで、見ても食べても楽しい気分になれる、遊園地のようなチョコレートメーカーです。
2022年には『Dari-K』というインドネシアカカオを扱うベンチャー企業を完全子会社化。
今後は、商品の革新だけでなく、環境やトレーサビリティへの配慮も進んでいくのではと推測されます。

参考:株式会社 ロッテ 公式サイト

Glico (江崎グリコ)


不動の人気商品『ポッキー』は多種多様な味わいに加え「極細」「贅沢仕立て」をはじめ「ご当地限定」などラインナップもさまざま。
百貨店限定の『バトンドール』などの高級路線も押さえています。
アイスを模した形の『ジャイアントカプリコ』や、メンタルバランスを整える成分を配合した『GABA』の他、自社ファクトリーで焙煎したカカオを使用している『神戸ローストショコラ』なる商品も。
トレンドと王道を両立している、絶大な安心感のあるチョコ菓子メーカーです。

参考:江崎グリコ株式会社

MORINAGA (森永製菓)


看板商品はお馴染みの『チョコボール』
「大玉」や「なかみ」など、ブランドを生かしたユニークな商品も増えています。
斬新な食感の『ベイク』も大人気ロングセラー。
本格的な味わいをコンセプトとした『カレ・ド・ショコラ』も年々ラインナップが増えています。
ソムリエによるマリアージュ提案や、有名パティシエとのコラボ企画などを行い、大人向けチョコレートにも注力しています。
また子会社・森永商事(業務用製品に特化したメーカー)では『ショコラマニュファクチュール』というブランド名でクーベルチュール(製菓用チョコ)の製造販売も行っています。
チョコレート業界を多面的に支えるマルチなチョコレートメーカーです。

参考:森永製菓株式会社 公式サイト

海外のチョコレート菓子のメーカー

次に、海外のチョコレート菓子メーカーについてご紹介していきます。
日本の小売店(スーパー・コンビニ)のお菓子棚はほとんどが日本のお菓子で占められているので、海外のメーカー名がパッと浮かぶ人は少ないかも知れません。
ですが近年では、ドン・キホーテ、成城石井、カルディのような輸入食品販売店が増え、インターネット上サイトでの食品購入も日常化したことで、海外製のチョコレート菓子を目にする機会も増えたのではないでしょうか。海外の大手メーカの日本コンビニ進出も活発化してきています。

日本のチョコレートメーカーはお菓子のパッケージに赤色を使用することが多いですが、海外のブランドは青色や黄色のパッケージも多くみられ、言語やフォントも異なるので、物珍しく感じられます。同じ原料でも、国によって砂糖やミルクなど素材の味わいが異なり、好まれる甘さも違うので、文化の差異を丸ごと楽しむことができますね。
現在購入できる海外メーカーのほとんどは西欧諸国ですが、Bean to bar やクラフトチョコレートのムーブメントによってカカオ生産国での現地製造も活発化しているので、これからますますより多くの国のチョコレートが楽しめる時代になっていくのではないかと推測されます。

海外のチョコレート菓子メーカーと定番商品一覧

この項では、海外に点在する代表的なチョコレートメーカーをリストアップし、一覧にしています(国名アイウエオ順)
メーカー名までは知らずとも、馴染みのあるパッケージや、お気に入りで購入しているチョコもあるのではないでしょうか。

海外チョコレート菓子メーカーの売上ランキング

世界のチョコレート菓子の市場規模は2019年で約1143億米ドル(約14.8兆円)、2027年には1364憶米ドル(約17.6兆円)まで成長すると見込まれています。
なお、日本の2021年のチョコレート菓子の小売金額は約5500億円。
チョコレート菓子の市場規模の大きさを感じるとともに、世界中でチョコレートが愛されていることが分かります。
中でもトップクラスの売り上げを誇る海外のチョコレートメーカーが『マース』『フェレロ』『モンデリーズ』『ハーシー』『ネスレ』『リンツ&シュプルングリー』の6社です。
下記は純売上高のランキングです。

参照サイト
FORTUNE BUSINESS INSIGHTS Chocolate Confectionery Market size
全日本菓子協会(ANKA)菓子関係データ
International Cocoa Organization (ICCO) The Chocolate Industry
Candy Industry 2021 Global Top 100 Candy Companies

ダントツトップのマース(純売上は日本トップの明治の約2倍)
モンデリーズ・ハーシーなど米国の企業と、フェレーロ(イタリア)、ネスレ(スイス)などヨーロッパの企業が上位を占めています。
それでは下記より、主要チョコメーカーを詳しく紹介していきます。

MARS(マース)


チョコレート菓子売上世界トップのアメリカ企業。
世界200ヵ国以上で親しまれている「M&M’S」、1930年から販売されている日本でもお馴染みの「スニッカーズ」が主力製品。
近年では「BE-KIND」という健康志向のおやつも展開しています。
商品と共に「全米コンビニ売上No1」という宣伝ポップが、陳列棚にありました。

また現在、森林伐採のないカカオサプライチェーン実現を目指す取り組みも進めており、児童保護プログラムや農家開発計画なども含めた「Cocoa for Generations」という施策に10億ドル以上(約1300億円)の投資支援も行っています。

参考:Mars, Incorporated 公式サイト

FERRERO(フェレロ)


1946年創業、グローバル展開しているイタリア老舗企業。
主力製品は金紙に包まれた球体「ロシェ」、バレンタイン時期になるとコンビニやスーパーで見かける定番商品です。
ロングセラーのチョコレートのスプレッド「ヌテラ」は、ジャム売り場で見たことがある、という方もいるのではないでしょうか。
シンプルな原材料をモットーに、素材の風味と栄養素に着目した商品開発がなされています。
商品種類は少ないですが、素材にこだわる誠実な経営スタイルと安心の美味しさで、世界中で親しまれています。

参考:Ferrero International S.A. 公式サイト

Mondelez(モンデリーズ)


食品飲料を扱うアメリカの巨大多国籍企業。
合併買収を繰り返しており、各国の人気菓子ブランド商品も複数取り扱っています。
主力チョコ菓子ブランドは、オレオ・キャドバリー・コートドール・ミルカ・トブラローネ。
日本の小売店でもよく見かける「オレオ」は、現在モンデリーズの子会社であるナビスコから販売されています。
ちなみに1912年に誕生した「オレオ」ブランドは、2022年で110周年を迎えるそう。
その記念としてムック本も発刊されており、日本でも深く親しまれていることがうかがえます。

参考:Mondelēz International, Inc. 公式サイト 

Hershey(ハーシー)


1894年創業、歴史あるアメリカの企業です。
主力製品はスーパーでもよく見かけるチョコレートバーや、可愛らしい形状の「kisses」チョコレート。
最近ではブランドを生かしたシリアルやクッキー、チルドデザートも。販路を広げるため、飽くなき挑戦を続けています。

近年の健康志向に対応すべく、代替甘味料を扱う企業と提携したり、低糖質専門のブランドを買収するなどの施策も進めています。
またペンシルベニア州には、HERSHEY’S CHOCOLATE WORLDというテーマパークも存在します。

参考:ハーシージャパン株式会社 公式サイト

Nestle(ネスレ)


スイスに本社を置く世界最大の食品・飲料多国籍企業。
主力チョコ菓子ブランドは「キットカット」「damak(ダマック)」「エアロ」「ミロ」
世界中で人気のキットカットは、発祥のイギリスを中心に独自開発も進んでいます。
日本では通常の赤箱の他、ハイカカオや抹茶・全粒粉ビスケットなどバラエティに富んだラインナップで地域限定の「北海道小豆&いちご」や「信州りんご」、期間限定の「桃」や「メロン」味も存在します。
さらに「キットカット ショコラトリー」というパティシエが監修を手掛けている商品も。
多種多様な客層や地域をカバーする強力なブランドを育てています。

参考:ネスレ日本株式会社 公式サイト

Lindt(リンツ)


1845年創業、世界120カ国以上で愛されているスイスの老舗企業。
「コンチング」というチョコレートをなめらかに仕上げる工程を発明した、歴史的メーカーでもあります。
板チョコのエクセレンスシリーズや、包み紙にくるまれた丸くてオシャレなリンドールの他
トリュフ&プラリネ(一口サイズのチョコレート)、スプレッドなど広く商品展開しています。
日本でも都市部を中心に専門店が続々進出しており、ドリンクやソフトクリームが楽しめるカフェ店舗もあります。
高級チョコレートの代名詞として確固たる地位を築いています。

参考:LINDT & SPRUNGLI JAPAN 株式会社 公式サイト

チョコレート原料のメーカー


チョコレート原料メーカーとは、そのまま食べるためのチョコレートではなく、製菓用チョコレートや、チョコレート菓子を作る際に必要なカカオマス、カカオバターなどを製造しているメーカーです。
自社でカカオマスから菓子製造まで一貫して行うメーカーも存在しますが、資本力があり流通ルートを確保できている巨大メーカーに限られます。よって、基本的にチョコレート製菓メーカーは、カカオマスやクーベルチュールを原料メーカーから購入し、様々な商品に成形加工して販売を行っています。

例えば、チョコレート原料メーカー世界最大手『バリーカレボー』のチョコレートは、「ネスレ」や「GODIVA」など誰もが知っているブランドでも使用されています。
最近では「ルビーチョコレート」を使用した「キットカット ルビー」や、「エヴォカオ」と呼ばれるカカオの果実を使用した酸味のあるチョコレートを使用した「ショコリキサー」や「テリーヌ」が販売されていたことが記憶に新しいです。

参照サイト
ネスレ公式 キットカット ルビー プレスリリース
The Chocolate Journal  ホールフルーツチョコレートとは?

チョコレート原料メーカーの顧客は、我々消費者ではなく菓子製造メーカーなので、その名前はほとんど聞いたことがないと思います。
ですが、原料メーカーの製造するチョコレートは、さまざまなチョコレート製品を通じて、私たちの口に入っているのです。
またこの業界はM&Aによる業界再編が続いています。2018年には不二製油(日本)がブロマー(アメリカ)を、2019年にはオラム(シンガポール)がBTcocoa(インドネシア)を、2021年にはカーギル(アメリカ)がアールスト社(シンガポール)を買収しています。
販路・生産能力の確保と共に、各社とも持続可能なカカオ原料の生産・製造を意識した事業展開を進めています。

世界のチョコレート原料メーカー一覧

原料メーカーも大きく分けて2種類
「カカオ豆を輸入してカカオマスや製菓用チョコレートを製造している企業」
「カカオマス・製菓用チョコレートを購入して加工・成型(個人向けなどに用途最適化)をしている企業」
が存在しますが、この項ではカカオ豆を輸入し、クーベルチュールやカカオマスを製造している代表的なメーカーを紹介します(国名アイウエオ順)

主要メーカー解説

原料メーカーの総数は、製菓メーカーと比較すると少なく(製造設備や豆の輸入量を増やすことで、コスト削減・市場優位性を獲得しやすいため)
合併買収も進んでいるので、新規参入がしにくい業界であり、生産能力だけ見ても、大手何社かで寡占している状態です。
ただ、近年ではBean to bar やクラフトチョコレート専門店(小ロット生産+小売りを同時に行っているメーカー)の人気の高まりで「カカオ」という素材そのものにも注目が集まるようになってきました。小ロットのクーベルチュール(チョコレート原料)が、マス向けではない個人店向けに供給される事例も増えています。
同時に、老舗クーベルチュールメーカーの発酵や味わいの研究も進んでおり、味と品質も多様化しています。
パティシエ・ショコラティエ、食に携わる職人一人一人が「作りたい味わい」を開拓し、自由に原料を選択できる時代になってきています。
下記より、海外・国内で大きなシェアを持つメーカーや注目のメーカーをピックアップして紹介していきます。

BARRY CALLEBAUT(バリーカレボー)

スイスに拠点を置く、世界トップシェアのチョコレート原料メーカー。
1842年創業の「カカオバリー」(バトンショコラの開発でパンオショコラが普及)
1911年創業の「カレボー」(世界で初めてクーベルチュールを開発)
1828創業の「ヴァンホーテン」(世界で初めてココアパウダー製造方法を発明)
を始め、カルマやチョコヴィックなど複数の老舗クーベルチュールメーカーが統合した巨大企業です。

世界の職人たちがチョコレートの技術を競い合うコンテスト「ワールドチョコレートマスターズ」を開催しており、ショコラティエやパティシエからも厚い信頼を寄せられています。
また、商品開発もさかんで、前述したような「ルビーチョコレート」や「エヴォカオ」の他に、最近ではヴィーガン対応の「NXT」も発売されています。
世界の製菓チョコレート産業を牽引する企業です。

参考:BARRY CALLEBAUT 公式サイト

Cargill(カーギル)

1865年創業、世界的にも大きな影響力を持つ米国企業。
その事業は穀物、家畜、食物、健康医学、薬学、工業、金融、電気、ガスなど多岐に渡っています。
カカオ関連事業も50年近く続いており、チョコレート原料では「Ambrosia」「Gerkens」「Merckens」「Peter’s」「Wilbur」の5つのブランドを抱えています。
近年ではアジア進出に大きく踏み出すためシンガポールの「Aalst」も買収。
トレンド(健康やプレミアム志向)に関するレポートや研究体制も充実しており、カカオ豆の市場価格や変動にも造詣が深く
現在の世界のチョコレート市場を先導する存在です。

参考:Cargill 公式サイト

不二製油

1950年創業、業務用チョコレート国内シェア1位の日本企業。
日本で初めて「洋生チョコレート(コーティング用チョコレート)」を開発。
ファットブルームを防ぎテンパリング工程を省略できる「チョコシード」も発売。
油脂に関するノウハウ・技術力を活かして、クーベルチュール(製菓用)だけでなく、「アイスコーティング専用」「焼成専用(製パンetc)」など使用温度帯別に用途最適化されたチョコレート原料も多数扱っています。
より美味しく、より便利に……チョコレート菓子の製造ハードルを下げ、その普及に大きく貢献している、業界を支える大黒柱的存在のメーカーです。
近年ではブラジルの最大手「Harald(ハラルド)」や、北米販売1位の「Blommer(ブロマー)」を買収し、世界にもその事業を拡げています。

参考:不二製油 株式会社 公式サイト

puratos (ピュラトス)

1919年創業、製パン・製菓・チョコレート材料に特化したベルギーの企業。
世界100ヵ国以上でグローバルな事業展開を続けている老舗です。
海外によるベルギー国内のチョコレートメーカー買収が相次ぐ中、自国のノウハウ保護のために、1988年に自社チョコレートブランド「ベルコラーデ」を設立。
また、2014年からは「カカオ・トレース」という包括的なカカオ支援活動を行っています。
専門施設でカカオ豆の発酵と乾燥の一元管理を行うことで、風味向上・品質の安定を図る他
カカオ⽣産者の栽培技術向上を支援し、収入・生活⽔準向上のサポートも行っています。

参考:puratos 公式サイト

VALRHONA(ヴァローナ)

1922年、菓子職人が創業したフランスの企業。
1986年、ミルクチョコが主流だった当時、カカオ分70%のクーベルチュール「グアナラ」を発売。
自社農園の取得、製菓学校の設立、製菓の世界大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」の創設など
カカオとチョコレートの普及に向け、精力的な活動を続けています。
フレーバーの研究が進んでおり、200人の官能評価者によって、その品質が維持され、高められています。
「ブロンド」「二重発酵」「カカオ分125%」「フルーツシリーズ」「シングルオリジンシリーズ」など
多彩なラインナップで作り手を魅了しています。

参考:VALRHONA 公式サイト

日新加工

1948年創業、油脂や製菓用フィリングに特化した日本企業。
1952年には、マーガリンとチョコレートを混合した「ホームチョコリー」を開発。
その後、練り込み用のクリーム・ペースト・パウダーの他、トッピング用のチョコレート原料も販売。
近年では、カカオパルプパウダーを練り込んだ板チョコやテリーヌ、レッドカカオマスを使用した商品も(←ショコラナビによる過去取材記事はコチラから)
「BtoB(法人向け)」だけではなく「BtoC(個人向け)」販路も開拓しているチャレンジングな素材メーカーです。

参考:日新加工 株式会社 公式サイト

素材メーカ選出時の参考サイト:https://deallab.info/cocoa-cacao/

以上、チョコレートに関連するさまざまな企業やその特徴のご紹介でした。
製菓メーカー、原料メーカー……チョコレートの業界はさまざまな企業によって支えられています。
是非、手に取った商品から、メーカーの人達の想いや繋がりも感じ取ってみて下さい。

この記事のライター:
ライター:みな
Bean to bar をひたすら食べ続ける深堀系のチョコレートオタク。
食べ比べが趣味。未知の技術やフレーバーが大好き。
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