「カカオパルプ」に「ルビーチョコレート」。
これらの言葉は最近よく聞くようになりましたが、「パルプ入りチョコレート」や「レッドカカオマス」はいかがでしょうか?
今回ご紹介するのは日新化工株式会社様がつくるチョコレートとテリーヌ。
『nk premium series(nkプレミアムシリーズ)』としてネット販売されている4つのアイテムをご紹介させていただきます。
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目次
パルプ入りチョコレート『01 fruit』とは?
日新化工株式会社様は、業務用チョコレートを製造販売する1948年創業の老舗メーカーです。 普段はパンやお菓子のメーカー向けにチョコレートを販売してきた同社ですが、2020年にこれまでと全く違う素材を取り入れた『nk premium series』を販売開始しました。 こちらの『01 fruit』はその代表的なアイテムでカカオパルプを粉末状にしたものがチョコレートに練り込まれています。 なんと砂糖を一切使用せず、甘味はカカオパルプがもつ甘味だけ、というかなり個性的なチョコレートです。商品名:01 fruit 定価:2,260円 (税込) 原材料:カカオマス(エクアドル製造)、カカオパルプパウダー、ココアバター/乳化剤、(一部に乳成分・大豆を含む) 内容量:15g×8枚
そもそもカカオパルプとは?
カカオパルプとは、チョコレートの原材料であるカカオ豆の果肉部分の事。 カカオポッドは割ると豆が白い果肉に包まれていて、この部分の事を『カカオパルプ』と言います。 カカオパルプはフルーツのように水分と糖分を含んでいるので、とても傷みやすいため、以前までは現地の人しか食べられない珍しい食材でした。 しかし、ここ数年になってカカオパルプが注目されるようになり、日本国内でもピューレ状のものが手に入るようになってきています。 一方で、このチョコレートはカカオパルプのピューレではなく、 協力会社様と一緒に独自開発したカカオパルプのパウダーが使われています。 ピューレでは水分が多くチョコレートと合わせるのに不向きな上、 パウダーにすることでパルプの風味が凝縮され、チョコレートにした時に香り高く楽しめるそうです。『01 fruit』はどんな味?
そんなカカオパルプを使用したチョコレート、どんな味なのでしょうか。 ご提供いただいたサンプルを試食させていただきました。 まず、口に入れた瞬間驚くのは、フルーツのようなはっきりとした酸味です。 レモンほど強くはなく、すだちのようにほんのりと甘み感じるジューシーな酸味で、夏についつい食べたくなるような魅力を感じます。 その後、チョコレートらしい深いカカオ感がしっかりと出て来て、重層的で食べ応えが抜群です。 最初は酸っぱくて後から深みが出てくる…という変化は、ワインを彷彿とさせ、健康的な印象も受けました。 パルプの青臭さやカカオのえぐみはありません。 また、砂糖が入っていないながらもパルプの持っている糖分があるため、 カカオ100%のチョコレートよりもかなり食べやすく感じられます。 健康のためにワインを飲まれている方、ノンシュガーチョコレートに関心がある方、個性的なチョコレートを試してみたい方におすすめです。『01 fruit』を使ったテリーヌはどんな味?
そんな個性的な『01 fruit』ですが、こちらを使用したテリーヌもラインナップされています。商品名:the terrine chocolat 定価:4,200円 (税込) 原材料:クリーム(国内製造)、卵白、砂糖、カカオマス、カカオパルプパウダー、卵黄、ココアバター/乳化剤、(一部に乳成分・卵・大豆を含む) 内容量:1本
こちらの『the terrine chocolat』は、『01 fruit』を使用したテリーヌです。 個性的な酸味の『01 fruit』の良さを損なわないように、オリジナルのレシピで作られています。 こちらは、袋を開封した瞬間、チョコレートのチーズケーキのような爽やかでこっくりした香りがあり、開けた瞬間から特別感を感じられるケーキです。 食べてみると、パルプの爽やかな酸味とチョコレートのバランスがとても良く、特徴的ながら万人受けする味わいに感じられました。 また、一般的なテリーヌと比べて生地がエアリーに仕立てられていて、口の中にいつまでも留まらずサッパリ食べられます。 チョコ感はしっかりあるのに、爽やかな酸味のお陰で胸やけせずどんどん食べたくなる味でした。チョコレートがお好きな方には食べ過ぎに注意していただきたいです。レッドカカオを使った『02 red』とは?
もうひとつ、『nk premium series』では特徴的なチョコレートをラインナップしています。 それは『レッドカカオマス』というカカオマスを使った『02 red』というチョコレート。 鮮やかなピンク色が特徴で、ルビーチョコレートを彷彿とさせるチョコレートです。商品名:02 red 定価:2,260円 原材料:ココアバター(マレーシア製造)、砂糖、乳糖、全粉乳、カカオマス/乳化剤、クエン酸、(一部に乳成分・大豆を含む) 内容量:15g×8枚
レッドカカオマスとは?
カカオマスとは、カカオ豆を加工したチョコレートの原料で、ここに砂糖・ミルク・カカオバターや乳化剤等を入れるとチョコレートが完成します。 このカカオマスは通常は茶色をしていますが、鮮やかな赤色とフルーティーな味・香りを持った特殊なカカオマスがあり、日新化工株式会社様ではこれを「レッドカカオマス」と呼んでいます。 日新化工株式会社様では、このレッドカカオマスにココアバターや砂糖等を加えてこちらのピンク色のチョコレートを作っています。ルビーチョコレートとの違いは?
ルビーチョコレートもまた、このレッドカカオマスを使用して作られたピンク色のチョコレートです。 ルビーチョコレートは、バリーカレボー社様がレッドカカオマスを自社用で製造し、それを基に製造しているチョコレートになります。 一方日新化工株式会社様では、海外の別原料メーカーで製造されているレッドカカオマスを用いてチョコレートを製造しています。 使用している原料が違うので、チョコレートへ加工するにあたり他の材料の配合や、製造工程も異なります。 そのため、同じピンク色のチョコレートに見えますが出来上がったチョコレートの味はまったくの別物になります。『02 red』はどんな味?
そんな『02 red』ですが、どんな味がするのでしょうか? こちらは、一口食べると香りのフレッシュさに驚きます。 ベリーのような果実感がとても豊かで、まるで苺を練り込んだチョコレートを食べているかのようですが、 甘ったるくなく上品な味わいで、後味も軽いです。香料を入れていないのに、カカオ本来の味でここまでの果実感を感じられることに驚きます。 ルビーチョコレートと比較すると、ルビーチョコレートの方が乳味や甘さが目立つイメージがあり、一方で『02 red』は果実感が豊かに楽しめます。 ジューシーな美味しさに、これだけでもどんどん食べたくなってしまう魅力がありました。『02 red』を使った割れチョコ、『the tablet 02』はどんな味?
2021年9月には、『02 red』を使った新商品『the tablet 02』も登場しました。 ココナッツ、ナッツ、ドライフルーツなどの素材をトッピングしたこちらの割れチョコは、クラウドファンディングでの支持を集めながら製品化。 コメント欄にはサポーターの方々からの熱いメッセージが集まっています。商品名:the tablet 02 定価:1,600円 原材料:ココアバター(マレーシア製造)、ローストヘーゼルナッツ、砂糖、乳糖、ココナッツチャンク(ココナッツ、砂糖、食塩)、ローストピスタチオ、全粉乳、ドライクランベリー(クランベリー、砂糖、植物油脂)、ドライマンゴー(マンゴー、砂糖)、ドライバナナ(バナナ、コーンスターチ)、カカオマス、ドライユズ(ユズ、砂糖、還元水飴)、植物油脂/乳化剤、クエン酸、酸化防止剤(V.C、亜硫酸塩)、香料、漂白剤(亜硫酸塩)、(一部に乳成分・バナナ・大豆・アーモンドを含む) 内容量:100g
こちらのお味はというと、やはり主役は『02 red』の瑞々しい果実感。そこにナッツやドライフルーツの個性が加わって、噛み締める度に新鮮な美味しさが楽しめます。 ナッツを噛み締めた時は香ばしい香りが口の中に広がり、チョコレートの甘酸っぱさにこっくりとした風味を加えて贅沢感が増します。 柚子やクランベリーを噛み締めた時は、逆にチョコレートのミルキーさが際立ちます。クリームたっぷりの苺のようなデザート感が楽しめます。 食べる前は「歯ごたえもありそうだし小腹も満たせそうだしデスクのお供に良さそうだな」と思っていましたが、 ついつい意識を持っていかれる食べ応えとリッチな味わいなので、お茶やコーヒーと一緒にゆっくりとお楽しみいただくのをおすすめします。素材の味を引き出したい。開発担当者の工夫
カカオパルプのパウダーを使った『01 fruit』と、レッドカカオマスを使った『02 red』。 どちらも特徴的な素材を使っており、素材の持ち味である酸味や果実感が引き出されていて驚くばかりです。 どうやってここまでの美味しさを引き出しているのか、開発担当の方にお話を伺いました。はじめまして、ショコラナビの福永です。
どうぞよろしくお願いします。
はじめまして、日新化工の柏原貴子です。
自社製品を使用した菓子のレシピ提案を手掛けています。
よろしくお願いします。
『01 fruit』と『02 red』どちらも素材の特徴が光っていますよね。パッケージも、スタイリッシュなデザインがチョコレートには珍しく、とても目を引きます。
ありがとうございます。このパッケージは『宝石』をイメージしているんです。どちらのチョコレートも原料として珍しいものを使っているので、その原料を宝石の原石に例え、それを磨き上げた、というイメージで光の反射・煌めきを意識したデザインになっています。
なるほど!『素材の魅力を磨き上げた』というのが、このチョコレートのメインイメージなんですね。なぜこのような商品を開発されたのでしょうか?
日新化工株式会社は、チョコレートを中心とした業務用の製菓材料製造メーカーです。
お菓子やアイス・パンに使うチョコレートをオーダーメイドで作ることが多いのですが、例えば『夏場は融けづらく、冬は口解けの良いチョコレート』のように、顧客様のニーズにあわせたチョコレートを作れるのが強みです。
そんな”当社だから出来る”エッジの効いた製品を原価度外視で作り上げて、少しでも多くの方に”日新化工”の技術・製品を知って頂きたい、という思いで立ち上げました。
だからこそ、こんなに特徴のあるチョコレートになったんですね。
普段は製菓材料を作られているという事ですが、新しくECを立ち上げるには勇気が必要だったのではないでしょうか?
その通りですが、だからこそ、という感じです。
ECサイトを通じて今まで挑戦できなかったこと、しなかったことに挑戦して、
会社としての認知度・ブランド力・技術力を向上していきたいと考えています。
こうした活動が、業務用を含めたお客様への美味しいに繋がっていくといいです。
確かに他のお店では食べられない印象的な美味しさで、日新化工様のキャラクターをとても強く感じました!
特に『01 fruit』はパルプの持つ爽やかな酸味がしっかり感じられますね。
使われているパルプのパウダーのお陰で、こういった味わいが楽しめるのでしょうか?
そうですね。日本国内で出回っているのは、カカオパルプのピューレが多いですが、ピューレは水分が多く、そのままチョコレートに混ぜようとしてもチョコレートが分離したりしてしまうので、チョコレートの原料には向いていません。
もし、配合するとしても極少量しか添加できず、折角のピューレの存在が台無しになってしまいます。
そこで、協力会社さんにピューレをパウダー化してもらいました。ピューレの風味を活かしたパウダーにするのがなかなか大変で、原料としてピューレの紹介を受けてから、パウダーに辿り付くまで1年程度かかりました。
なるほど、使われているパウダーはオリジナルの物なんですね。
そのパウダーを砂糖の代わりに混ぜてチョコレートにしていると。
ざっくりした工程はそうですが、実際には砂糖とパルプパウダーを置き換えればよいというものではありません。詳細は秘密ですが、通常とはかなり違った条件をとらないとチョコレートにはなりませんでした。最終的な製品となるまでには三年近くかかりましたね。
三年! かなりの苦労が背景にあったんですね。
そうですね。パルプパウダーと合わせるカカオマスにもこだわりました。
カカオマスは産地などの種別によって風味が異なりますが、パルプとの相性を重視して、一番良かったパウダーと同じエクアドル産の物にしています。パルプはライチなどのトロピカルフルーツのような癖があり、甘味よりも酸味が凝縮している感じなので、喧嘩せずに癖を活かせるものを選びました。
パルプの風味を活かすことにとことんこだわったんですね。
はい。せっかく作るのだから、他では食べれない尖ったものにしたいという気持ちがありましたから。
テリーヌの方もそういった素材を活かすのをコンセプトにやってます。小麦粉や砂糖などの副材料をなるべく入れないようにですね。粉を入れれば入れる程、ガトーショコラやクッキーのように重たくなってしまうのですが、パルプのフレッシュさを楽しんでいただきたかったので、なるべく軽い配合を意識しました。
ずっしり重たいテリーヌのイメージを持たれている方には意外かもしれませんね、レアっぽい感じです。
確かに、ふわっとした感じでとても口溶けがよく、爽やかな香りが口いっぱいに広がりますね。
生地作りにメレンゲを使っていて、低温でじっくり湯煎焼きにしています。生地作りにもなかなか苦労しましたね。生クリームを増やしてしまうと乳脂肪が酸味を打ち消してしまい、食べやすくはなりますがパルプの美味しさが薄れてしまいます。素材の特徴を出しつつ、万人受けする美味しさを目指して試行錯誤しました。ちなみに、ピューレを使ったものも試作しましたが、ちょっとえぐみが気になる感じでしたね
なるほど、パウダー入りの『01 fruit』を使うからこそ、えぐみが無くフレッシュな美味しさを楽しめるんですね。
そうですね。ケーキにしてはチョコレートの配合量もとても多いです。ぜひ『01 fruit』の面白さ、美味しさを感じて欲しいですね。
『02 red』も、『01 fruit』に負けない程個性を感じるチョコレートでした。香料やフルーツパウダーなどを全く使わずに、こんなにジューシーな味わいが生まれることに驚きます。
これこそが原料のレッドカカオマスが持つ素材自体の魅力なんですね。しかし、レッドカカオマスをそのまま食べると、通常のカカオマスに輪をかけてどぎつい味がします(笑) もう、比較にならないくらい渋いし酸っぱいです。製造工程の中でそれを中和することもできますが、そうすると色がもたなくなってしまいます。なので、そのまま活かすようにし、食べやすさとのバランスをとりました。
私、はじめはルビーチョコレートみたいに綺麗だなぁ、と思いながら食べたのですが、味は全く違って驚きました。
他社様のレシピがどうなっているかは私たちにはわかりかねますが、せっかく自分達で作るのだから、今あるものとは違うチョコレートにしたい、という気持ちは強くありましたね。そんなこともあって、甘味と乳味を抑えめにして、素材の味を引き出すように意識しています。味の好みは人それぞれですが、作った私たちとしては胸を張って美味しいと言える自信作です。
ぜひ、食べられた方にどちらが好みか聞いてみたいですね!
そうですね。『01 fruit』も『02 red』も、素材の美味しさを引き出すことにフォーカスした尖ったチョコレートです。感想をお聞きするのが楽しみでもあり、振り切っているのでちょっと怖いところもあります(笑)
しかし、どちらもかなりの試行錯誤の末に生まれた味です。当社は大手さんとは違うので、いろんな協力会社さんに手伝ってもらいながら、ようやく磨き上げた『宝石』です。「面白いな」と思って、印象に残せてもらえれば嬉しいですね。
日新化工株式会社様のWEBショップではレビュー投稿でクーポンがもらえるキャンペーンを行っています。ぜひ食べられた方は感想を送ってみてくださいね。今日はどうもありがとうございました!