
『BENCINY』は未だ数少ない、Bean to Barチョコレートを専門に扱うショップ。
オーナーは元フォトグラファーの宮本さんです。
宮本さんが届けてくれるのは『誰もが頷く美味しいチョコレート』ではありません。
浅めのローストで大事に育てられた、カカオ豆の『個性』を楽しめるのがBENCINYのBean to Barです。
同じ産地の豆でも、去年の豆と今年の豆で違う個性があります。
そんな一期一会の豆の魅力を、最大限に引き出したのが宮本さんのチョコレート。
その味わいはクッキーのように香ばしかったり、フルーツのようにジューシーだったり。
今までの『甘くておいしいチョコレート』とは似ても似つかない道楽です。
オーナーは元フォトグラファー。細部が光るお洒落なデザインも魅力

オーナーの宮本さん(右)とパートナーの桜木さん(左)
ベンチーニーのオーナー、宮本さんは、元はフォトグラファーという意外な経歴の持ち主です。
お菓子作りへの興味をもちイタリアに修行に赴いたのが6年前。
当時の雑誌で新しいチョコレートとして話題に上ったBean to Barに興味をひかれたそうです。
「かっこいいな。やってみようという気持ちがありましたね。こんなに大変とは思わなかった(笑)」
あはは、と朗らかに語りながら、どこまでも真剣にチョコレート作りをされています。

ベンチーニーのチョコレートは、パッケージも、型もすべてオリジナル。
細部までこだわりつくしたデザインに、他のブランドにはないセンスが光ります。
これまでのチョコレートのイメージカラー、茶色は使わずに、青と黄色を使った爽やかな色合いです。
手間暇かけたこだわりのチョコレート作り

Bean to Barのチョコレートづくりは豆の入手から始ます。
単一産地のカカオ豆を小量で扱う専門業者から仕入れるのですが、ただならぬ苦労がここから始まります。
「まずは買ってきた豆をチェック、ぱっと見でカビが生えていないか、発酵の状態はどうかを一粒一粒チェックします。
見た目がOKでも中にカビが生えていることもあるので、いくらかは割ってチェックします。ひどい時は3割位捨てますね。」
大量生産・大量消費が当たり前になったこの時代。
品質の保証されたものが、安価・手軽に手に入ることに慣れている人間には、驚きを隠せません。
豆の選別が終わってようやくチョコレートづくりに入ります。
豆の焙煎、粉砕、磨砕、混合、コンチング、テンパリング・・・「今回の豆」に最適な条件は?時間をかけながら作りこんでいきます。
練りだしたレシピは門外不出、かと思いきや・・・
「初めて作る人にレシピあげちゃっても全然いいんですよ!・・・
本気で自分のチョコレートを作りたいと考える人が、BENCINYのチョコをそのまま作ることなんてないでしょうし・・・」
目指すのはあくまで「自分のチョコレート」。コンビニエンスに手に入るモノとは違うんですね。
厳選した豆から作る、滑らかで深い味わいのチョコレート
これまでBENCINYで試してきたのは23か国30種ほどの豆たち。
品質が良くチョコレート作りにまで使える豆は多くありませんが、それでも7種類から10種類ほどのチョコレートが並びます。
ナッツ系、フルーツ系など、様々なテイストが楽しめるようラインナップ。
テクスチャーはとても滑らか。
口に含めば体温で温まるにつれて、濃縮された香りと味わいがほどけていきます。
好みで選ぶもよし、気分で選ぶもよし、今晩の酒のお供には・・・と選ぶもよし。
手間と技術が濃縮された味わいはどこまでも深く、愉しみが尽きることはありません。

